a key to the secret
□第三二話
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「うぅ……、」
早く仕事に戻らなくちゃ…
けど、一向に涙が止まろうとしない……
頭では分かっているのに、体が言う事を聞いてくれない…―
何をしてるの?
こんな所で泣いている暇なんか、私には無い筈よ…
もう涙止まってよ…―!!
そう強く心の中で自分に言い聞かせていると、足元にテニスボールが転がってきた
どうしてこんな所にテニスボールが…?
そう思いながらゆっくりとテニスボールに触れようとした時、ガサガサと誰かが此方に近付いてくる音が聞こえた
その音がする方を振り返ると、コートで練習をしている筈の日吉の姿があった
日吉は私の姿を見た瞬間、少し驚いたような顔をした
「―…っ!?…どうした、こんな所で」
「え…えっと……」
ヤバイ…
泣いてる顔見られちゃった……
ユニホームの裾で急いで涙を拭き、日吉に微笑んで見せた
「何で泣いて…「い、いや〜…此処本当に広いからちょっと探検しててさ!そしたらさっき風が吹いてきて、その時に目にゴミが入っちゃったんだ〜。仕事をサボった罰だね、アハハ〜」
日吉に心配は掛けられない…―
だから私は誤魔化す為に、嘘を付いて笑って見せた
「さっ!早く練習に戻ろ…「嘘だろ」
「え…?」
「目にゴミが入ったなんて嘘だろ。さっきドリンクを持って来た時も、泣きそうな顔してただろ?…何かあったのか?」
私の腕を掴み、真っ直ぐと見つめてくる日吉
そんな目で見つめて来ないで……
嘘だって事がバレちゃいそうだ…
泣くな私……
絶対に泣いちゃ駄目だ…!
だけど気持ちとは裏腹に、無情にも涙は私の頬を伝った…―