a key to the secret
□第三五話
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赤也を叩いてから、すぐに私と日吉はコートへと戻って行った
日吉にはかなり迷惑かけちゃったよね
それに赤也にあんな事を言われてるなんて、知られたくなかったのに……
「ひ、日吉くん…」
「…なんだ?」
「さっきは本当に有難う」
そう言って私は日吉に小さく頭を下げた
その行動に、日吉は少し驚いていた
「別に俺は何も…」
「あか…き、切原くんが現れて怯えた私を、すぐに背中で隠してくれたでしょ?それに私の為に切原くんを殴ろうとまでしてくれた…。本当に有難う」
正直凄く嬉しかった…
日吉が私を庇ってくれたり、私への暴言に激怒するとは思わなかった
少しは日吉に”仲間”と言う目で見られているんだと思い、ほっとした…―
「ば…っ!!べ、別にお前の為とかそう言うのじゃなくて…た、ただ学校の事を侮辱されたから……」
「うん、そうだよね。全部が私の為だなんて思ってないよ。けどそれでも嬉しかったの。私を庇ってくれたのには、代わりないしさ。本当に有難うね」
そう言って微笑むと、日吉は私から顔を背けた
あ〜…、いきなり感謝の気持ちを言われて照れてるのかな?
日吉ってやっぱり可愛いな〜!!
「それと…もう一つ御願いがあるんだけど…」
「……?」
「さっき切原くんに言われた事、誰にも言わないで?これ以上人に知られて、心配されるのは嫌なの。ちゃんと切原くんとの事は自分で解決するから…だから皆には秘密にしてくれる?」
そう言って私は両手を合わせて、必死に御願いをした
するとそれを見た日吉は、はぁ〜…と一つ大きなため息を付いて呆れた顔で此方を見てきた
「…分かった、皆には言わないようにする。けどこれだけは約束してくれ。もし切原からまた何か言われたりしたら、我慢せずに俺に言って来い。それが条件だ」
真剣な眼差しで真っ直ぐと見つめてくる日吉に、私の胸はドキッと高鳴った……
「う、うん…。約束する」
「よし…、じゃあ俺は練習に戻る。お前も早く仕事しろよ」
そう言うと、日吉はコートへと走って戻って行った
私は高鳴る胸を押さえながらその後ろ姿を、只じっと見つめていた…―