貴女のため

□モーニング
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〜サユリside〜














越「サユリお嬢様、目覚めの時間ッス」








目をゆっくりと開けると
執事である越前リョーマがお茶を注いでいた。






『おはよう、リョーマくん』


越「おはようございます」




―カチャ


カップを置く音と同時に
リョーマくんの顔がドアップにきた。




『なっ!?』


越「さっきまで起きてたんッスね。
 息と歯がキレイッス。」



『…はみがきしたからね…』



いきなりなんなんだと思えば…
新米執事、越前リョーマは
妙に親近感が湧く。

出逢ってそう経っていないのに。





越「今日は俺が朝の当番でしたから、
 一番始めにお嬢様の顔見れて嬉しいっス」



―ドキ

『…ありがと』





少し挑発的に言うリョーマくん。
サラっと恥ずかしい事言っちゃうから
最近ドキドキしっぱなし。


私は、小さい頃からとある事情で
両親とは離れ、会社を立ち上げた。
結果、大成功し、大企業でトップとなった。

そして、私の生活はとても優雅なものになり
今に至る。

私の邸には、4人の執事がいて
一番偉い白石蔵ノ介が仕切り、
日替わりで個々に当番が決まっている。

今日の朝の当番は越前リョーマだった
という訳である。




『ねぇ、リョーマくん』



越「何でしょう?」



『貴方何歳なの?』



越「俺ッスか?
 何歳だと思います?(笑」



『私が20歳だから…』




んーとうなりながら
リョーマくんを下から上まで
ジィーっと見つめる。



越「そんな熱い視線送られると
 照れるんスけどね…(笑」


少しからかってるように言ってみせたけど
リョーマくんの頬は本当に
ほんの少し赤く染まっていた。

可愛い…(笑

そんなとこから、
私と近いだろうけど
私よりは年下な気がする…。



『17歳とか、かな?
…ってなると、高校どうしたの!?』



え!?学生だったら、
こんな仕事してる場合じゃないでしょ。



そうあわてていると
リョーマくんがまたドアップに
顔を近づけてきた。


―ドキ




越「俺…そんなに童顔ッスか?」






リョーマくんのキレイな目に
私が反射して見えた。

リョーマくんの整った顔に見惚れてしまって
目が離せなかった。



『そ、そんな事ない…よ…?』


思わず息を止めてしまった。
顔が近すぎて…

心臓の音が早まった。




越「お嬢様の1つ下です…―CHU」




『へ…?』




そう言ってリョーマくんは
背中を見せて、部屋を出て行った。


―パタン


そのドアが閉まる音が聞こえるまで
何が起こったのか全く理解できなかった。


…やっと今わかった。




『私…キスされた?』




でも、唇ではなく、おでこだった。


少しだけ、寂しい気もしたけど
それきっと、気のせい。



キスされたとこを、
手で押さえる。

心臓の高鳴りがやまないのを確認すると
…もしかして、私…?



END

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