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□水と空気
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「なァ、ヅラ」
真剣に本を読んでいた桂に、銀時はふいに声をかけた。桂は読んでいた本から顔をあげて、むっと眉をつり上げた。
「ヅラじゃない、桂だ。…何だ」
「お前ってさ、俺のことどう思ってる?」
銀時がそう尋ねると、桂はそうだな、と考えるような仕草をしてから口を開いた。
「親友だな。空気みたいに、いて当たり前のヤツ。」
たまにムカつくけど。と小さく付け足した。
「うん、俺もお前のことはそう思ってるけど…晋ちゃんはなんか、違うんだよなァ」
「晋助が嫌いなのか?」
桂の言葉に、銀時はぶんぶんと大きく首を横に振った。
「大好きだけど。でも一緒にいるとなんか、こう…」

胸が苦しいんだ。

「じゃあ水だ。水に溺れると息ができなくて苦しいけど、人は水がなきゃ生きられない。」
大切な存在。

水、水、水…その単語を何度か口の中で転がして、銀時は納得したようにうなずいた。
「そうだな。水だ。」

(俺がどうしようもなく水に溺れるのは、そう遠くないミライのはなし。)

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