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□催涙雨
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七月七日ー。
織姫と彦星が、年に一度だけ逢うことを許された日。

「あ、雨降ってるアル」
夕暮れ時、外は雨がしとしとと降っていた。
昼間に新八や銀時と、願いを込めてつるした短冊を見て、神楽はため息をついた。
「短冊、雨に濡れてみえなくなっちゃった…」
雨でインクが滲み、短冊に書かれた願いごとは読めなくなってしまった。
これじゃあお願い叶えてもらえないアル。

 「催涙雨だね。」
「さいるいう?」
うまいアルか、と神楽が尋ねると、新八は食べ物じゃないよ、と笑って話し始めた。
催涙雨っていうのは、七夕に降る雨のこと。
天の川が氾濫してしまって織姫と彦星が逢えなくなるんだ。この雨はね、逢えなくて悲しい、と二人が流す涙だといわれているんだって。
「なんか、かわいそうアル…」
神楽は切なげな表情で、降りしきる雨を眺め続けた。
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