(NL)

□背伸びをしても届かない
2ページ/4ページ





桜の花びらが、ゆらゆらと舞う。


一つ一つが儚くて、地面に着く瞬間まで目で追いかけてしまう。


暖かい.....

そう感じるのは、柳が隣にいるからなのか。


「柳先輩と初めて出逢った日も、こんな天気でしたよね。」


「あぁ...。確か、あの頃も、桜が舞っていたな。」



そう。あの頃も...、
彼が想いを伝えてきた時も、桜が舞っていて。


私も...伝えたい。



「柳先輩」


「ん?何だ?」


「あのね、」






――――好き、です。







恥ずかしくて、顔を下に向ける。


勝手に想いを告げて、
一人で恥ずかしがる私は何なんだろう。



桜乃がもじもじしていると、柳が



「俺も、好きだ、桜乃。」



耳元で囁いてきた。



「っ.....!!」




今まで何度も言われた台詞。

しかし、それが慣れないのは...
彼が好きだから。



「桜乃の耳、この桜と同じ、桃色だ。」



そう言って、柳は桜乃の耳に軽く触れ、微笑む。




ザーッ。


爽やかな風が二人の間をすり抜ける。





「来年も、ここで.....」




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ