(NL)
□背伸びをしても届かない
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桜の花びらが、ゆらゆらと舞う。
一つ一つが儚くて、地面に着く瞬間まで目で追いかけてしまう。
暖かい.....
そう感じるのは、柳が隣にいるからなのか。
「柳先輩と初めて出逢った日も、こんな天気でしたよね。」
「あぁ...。確か、あの頃も、桜が舞っていたな。」
そう。あの頃も...、
彼が想いを伝えてきた時も、桜が舞っていて。
私も...伝えたい。
「柳先輩」
「ん?何だ?」
「あのね、」
――――好き、です。
恥ずかしくて、顔を下に向ける。
勝手に想いを告げて、
一人で恥ずかしがる私は何なんだろう。
桜乃がもじもじしていると、柳が
「俺も、好きだ、桜乃。」
耳元で囁いてきた。
「っ.....!!」
今まで何度も言われた台詞。
しかし、それが慣れないのは...
彼が好きだから。
「桜乃の耳、この桜と同じ、桃色だ。」
そう言って、柳は桜乃の耳に軽く触れ、微笑む。
ザーッ。
爽やかな風が二人の間をすり抜ける。
「来年も、ここで.....」
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