四国四兄弟
□フラグ乱立なう。
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これはどういう状況なのか、と誰かに聞きたいものです。私は何も悪いことはしていないはずなんですが。
悪いことをしていないのに三(南関東の方々)対一(私)で座らされるという理不尽。普段仲良しだと思っていた埼玉さんでさえ、何だかよそよそしいですし。何だか涙が出そうです。
新手のドッキリとか? ああ、大阪さんならやりかねないですね。
でもさすがに神奈川さんとか埼玉さんがそれに乗るとも思えないですし、つまりこれは否定しようもない現実というわけでありまして。
「ええと…今日は会議のはずでは」
「最初はその予定だったけどな。東京、お前に聞いておくことがある」
嫌な予感。もしかして、この間の仕事帰りに漫画買ったのがバレたとか?
いやそれだけでなくマッサージチェアをついに買ってしまったこととか、休日に意味なく近所を走りまわって実は今筋肉痛なこととかが全部お見通しだったり?
もしそうだったら、私は明日からどういう態度をとったらいいんでしょうか。
私の不安をよそに、神奈川さんは厳かに口を開きました。
「今、付き合ってる奴はいるのか?」
男からその質問をされる日が来るとは、思ってもいませんでした。というか思いたくなかったです。
このセリフは、告白前の女の子が好きな人に「付き合ってる人はいるの?」と聞いて相手の反応を確認し、脈ありかどうかを判断するためだけにあるものと思い込んでいたものですから。
神奈川さんがどういう意図で聞いてきたのかは定かではありませんが、深く考えたらとてもじゃないですが彼と目を合わせられなくなるので、私も覚悟を決めて答えます。
「いません!」
何の羞恥プレイですかこれは。
「じゃ、じゃあ京都さんや新潟さんや愛媛さんや神戸さんや大阪さんや福岡さんや静岡さんとはどういう関係なんですか?」
「埼玉さん、今のは言い間違いですよねそう言ってください。まるで私があの人たちとフラグ立てちゃってるみたいじゃないですか! 私はそんなふしだらな男ではありませんよ」
「つまり全部誤解だと?」
きっと埼玉さんならわかってくれる…! そんな希望を胸に「もちろん」と頷きます。
「じゃあこの証言も嘘ってことか」
千葉さんがおもむろに取りだした紙には、こう書いてありました。
『 某O「東京がこの間Kに『大好きです』って言ってんの見たで!」
某N「福岡に『きゃっきゃうふふが見たい』ってセクハラ発言しとった」
某N「え…あ、東京さん? ……好きです」
*他一部関係者へのインタビューは困難を極めたため断念。 』
「この他にもいろいろ聞いてきたけど、大体言うことは一緒だったみてえだ。約一名がっつりお前に告白してるしな」
「誤解ですって! 言ったことは間違ってませんけど、ニュアンスが違うというか」
これを何も知らない人が読んだら、私がまるでものすごいプレイボーイみたいな印象を抱くに違いないです。何それ怖い。
「へえ…………言ったんですか…」
「埼玉さん、目が怖いんですが」
私はこの会議室から、無事に帰ることができるのでしょうか。死亡フラグ乱立なう。ツイッターで呟いたら誰か助けてくれますかね?