四国四兄弟
□中二病学パロ
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男は瞠目した。
そんなことは、ありえない。目の前で起こった現象は、自分の常識をはるかに超えていた。
死ぬかもしれないという不吉な予感を胸に抱きつつ、懐から銃を抜く。
手入れをしていないのであてにはならないが、少しでも威嚇になれば、この状況を打破できる可能性が出てくる。
しかし、その一連の動作を見た相手は構うことなく近づいてきた。
「『こんなもの、あてにならない』って思うのでしたら、やめておけばいいでしょうに」
「なっ……」
心を読まれたのかと思って一瞬油断したが、今は逃げるのが先だ。銃口を相手が掴んだ瞬間に、引き金を引いた。
これくらいのことで倒れるほどヤワな奴だとは思っていない。数分、いや数秒でも稼げれば充分だった。
急いで立ちあがってポケットから錠剤を取り出す。いちかばちか、使ってみるのもアリだろう。
思い切って口に入れようとした時、足元で軽く爆発が起きた。
「!?」
足元が水浸しになっていることに気づくと同時に、しまったと思った。
あまりにも遅すぎた。相手の能力を判断することも、自分の戦闘方法を選ぶことも。
「残念でしたね」
相手は顔色一つ変えることなく、真正面に立っていた。さっきの攻撃は無効化されたと考えて、おそらく間違いない。完敗だ。
諦めて座りこむと、相手が黙って手を差し出してきた。渡せ、ということか。おとなしく小瓶ごと錠剤を渡すと相手は満足したらしく、去って行った。
「…………ふっ」
思わず笑いがこみ上げる。正直、ほっとした。あんな危険物をずっと所持するよりは、横取りされた方が気が楽というものだ。
そのせいでこの街が混乱しようと、そこまで責任をとるつもりはない。
「はははは…ああ、面白いことになりそうだな」
多分、その地獄に自分は関わらないだろうが。