四国四兄弟
□中二病学パロ
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毎度おなじみの監査委員の能力検査は、はっきり言って面倒くさい。
その上、能力が過小評価されることはあっても過大評価されることなどほとんどないのだから、受けたって全く楽しくもないし、何のために受けているのかの理由すら希薄になりつつある。
「東京さんは、Bの4ってとこですね」
監査委員をやっている埼玉さんにそう宣告されても、何の事だかさっぱりわからない。
Bの4…あれですよね、商業誌の原稿を描く時の原稿のサイズとかなんかそんなかんじですよね。
でも私の能力は多分原稿用紙では測れないと思うのですが。
「それってどれくらいなんですか?」
「ええと、AからGまでで能力の強さがわかります。1から5までの数字は、簡単に言えば他の種類の能力との相性ですね。数字が大きいほど、有利に戦える可能性が高いってことです。東京さんはBなので能力は比較的高めですし、4ということは相手がどんな能力を持っていたとしても対処できる可能性もある、そういうことになります」
なるほどと相槌を打ちつつ、案外シビアなものだと思った。Gの1とか言われてしまった人は、一体どうなるのだろう。
怖くて聞けないけれど。
「ああ、安心してください。今までAとGのどちらかで評価された人は一人もいませんから」
見透かしたように微笑む埼玉さんは、監査委員だからおそらくB以上の能力はあるはずだ。能力の格差なんて、努力で簡単に埋まるものでもない。
Aをとる人がいれば、この学校の頂点に必然的に君臨する。それを超えることができなければ、付き従うしかなくなるのだろうか。
「…怖いですね」
「いえいえ、能力の強さなんてそれこそ検査の日程や天候によっても変わる人が多いくらい変動が激しいものですから、今回の判定だけで悩んだって意味ないです。それより、相性でしょうね」
「相性?」
火と水とかそういう意味だとしたら、私の能力と他の方の能力の相性というのは一概に言い切れないような…有利に使える場合もあるのは確かだとしても、不利な状況だってあり得ないことはない。
「えっと、長くなりそうなのでまた今度にさせてください。次の人どうぞ―…って千葉か」
「おい、なんでこれ見よがしにため息つくんだ?」
仲良さそうに談笑(?)する埼玉さんと千葉さんから離れた。面倒な検査も終わったことだし、と中庭を通り抜ける。
ちょっとくらい寄り道しても、おそらく罰は当たるまい。