四国四兄弟
□戦隊CPったーで小説
1ページ/3ページ
この女は扱いづらい、と思う。
何もかも見透かしたように俺を見るところや、自分の本心を決して悟らせないところなど、挙げればきりがないものの―とにかく、一緒にいると落ち着かなくなる。
でも、嫌いではない。
そうやって振り回されるのには神戸で慣れているし(認めたくはないが)、「そういうものだ」と割り切れば何ということはない。
「播磨はん。お土産どす」
「……え」
京都が悪戯っぽく笑って渡してきたのは、桜の花びらだった。
「どこのお土産や、これ」
庭で拾ってきましたとか彼女が言うわけないのはわかっていたけれど、聞かずにはいられない。
久しぶりに会えばこれだから、俺はますます彼女のことがわからなくなる。
わからないから、もっと知りたいと思ってしまう。彼女の思惑にはまっているだけだと言われたら、その通りだと頷くだろう。
「内緒や、って言ったら怒ります?」
「別に」
いつものことだ。答えなんて、本気で求めていない。
「もう昼寝の時間やし、俺は帰る」
空気の読めない男だとか皮肉でも言うかと思ったのに、彼女はそうしなかった。
「どうせ昼寝するなら、うちのところで昼寝してから帰ったらええと思いますけど」
「は?」
何の冗談なのか。いや、その申し出を断る理由はないけれど。
あの京都がここまで親切にしてくるなんて、明日は槍でも降るのかもしれない。
もしくは寝室に何かからくりでもしかけている可能性も否定できない。俺の寝顔や寝言をネタにして次の会議で切り札にしようという魂胆か…!
「被害妄想もほどほどにしてもらわな困りますなあ」
呆れた顔で俺を見る京都に、そのような企みがあるとも思えない。ここはその話に乗って、気持ちのいい昼寝を楽しむのが賢明な選択だろう。
「わかった、おとなしく昼寝すればええんやろ」
手の中にあった桜の花びらをポケットに突っ込んだ。微かに香る花の匂いに、思わず頬が緩んだ。