小説1

□君ノ瞳ニ恋シテル
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喘ぐ君の顎に手をかける。

「はっ…何しやがる…」

薄い口唇に血が滲んで、とても綺麗。
硝子細工の二つの目がぼくを睨み付ける。
潤んでて可愛いな。
煮込んで食べちゃいたいよ。

薄暗い部屋。
安っぽいホテルの一室。
ピンクのカーテン。
大きなベット。
カダージュとレノ。

今から1時間15分ほど前、朝焼けのぼんやりとした光の中、偶然出会った2人。






まだ薄暗い朝方の細道。
カダージュは向こうから歩いてくる赤い髪に気が付き、意地悪く口許を歪ませた。

「れぇ〜の」

「・・・・・・・最悪」

げぇっと顔をしかめるレノに、カダージュは笑い声を上げた。

「任務帰り?顔に血がついてる」

そっとレノの頬に触れる指。

「おぉっと。さわんなよ、と」

緩く弾かれる手。

「ふふっ社長以外には触られたくない?」

「なぁにゆってっか解んないぞ、と」

とにかくどけよ、と。
レノがカダージュの横を擦り抜けようと足を進める。

「もうちょっと遊んでよ」

「ぃたっ」

レノの肩を掴み壁に身体を押し付ける。

「ねぇ、質問に答えてよ」

「早く帰りたいんだけど」

「すぐ済むよ。
ねぇ、社長のこと、大事?」

「・・・そりゃ社長だしな、と」


カダージュの言いたいことが解らず、取り敢えず付き合うレノ。

「気に食わないな」
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