小説1

□君ノ瞳ニ恋シテル
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「気に食わないよ、あんたのその気持ちも、あんたに大事にされてる社長も」

「はぁっ?」

蹴られた場所を押さえながらレノは訝しげな声で反論する。

意味がわかんねぇ。
大体なんで俺コイツに絡まれてんだ、と。

「わけわかんねーぞ、と。
なに?お前そんなに俺のこと好きだったの?」

馬鹿にしたような口調で笑う。
しかしカダージュはレノの言葉に大きく反応した。

「・・・・・・好き?」

カダージュが目を見開いて呟いた。

「好き…」

「・・・・・ねぇ、好きってもしかして、頭からそいつのことが離れなかったりする?」

「ぇ?おぉ…するんじゃねーの?」

なんだなんだ?恋愛相談か?

プチパニックなレノを余所に、カダージュは続け出す。

「そいつと誰かが一緒にいたら苛々したり、
そいつが何考えてるか知りたかったり、
そいつと仲良いヤツ殺したくなったり、
そいつのことどっかに拐いたくなったり、しちゃう?」

興奮気味に喋るカダージュ。
レノとの距離は鼻がくっつくくらい近い。

「ぉ、落ち着け落ち着け」

顔がほんのり赤いカダージュの肩を掴んで身体を離す。

「まぁ…相談だったら乗るし…その、なんだ、どっかそのへん入るか?」

「ぇっほんと!?いいの?」

顔がぱぁっと明るくなるカダージュ。

「ぇ。おぉ。いいに決まってんだろ、と」

敵に何ゆってんだ俺・・・・

レノは足取り軽く喫茶店へ向かうカダージュについていきながらガックリと肩を落とした。
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