小説1

□浸食
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ザックスの部屋で寛ぐ赤猫を見付けたのは偶然だった。

「あれ?英雄様じゃん」

ベットに寝っ転がってハンバーガーに囓りつく。

「そう言う呼び方はよせ。
レノ、ザックス知らないか?」

「コンビニ行ったぞ、と。
今から飲むんだ。セフィロスもどう?」

音楽のうるさい部屋で、ファーストフードに囓りついて、雑誌見ながらレノはセフィロスに言う。
ゆったりと横たわる身体に、サイズの大きなTシャツにトランクス。
レノの細いラインが、セフィロスの目を奪う。

「・・・飲みはしないが、ザックスに用があるんだ。
ここで待ってても構わないか?」

「いーんでないの〜っと」

ニヒヒと笑ってレノが顔をこちらに向けた。
風呂に入ってたのだろうか。
髪が濡れている。
解けた長い髪は自由にシーツに散らばって、赤色が視界を大きく支配し出す。
思考を変える為にセフィロスは目を逸らして話題を探した。
目に入ったのは夥しい数のCD。

「・・・・何の音楽聴いてるんだ?」

「ん、シュガーロス」

「また暗いのを・・・」

セフィロスは苦笑いしてその辺に散らかったCDを手に取る。
システムにビョーク、ニルヴァーナ、マリリン・マンソン・・・・
明るく笑うレノに似つかわしくない根暗い音楽たち。
なんとなく、レノの中身に触れた気がした。

「なぁセフィロス」

雑誌から目を離しレノは体を起こす。

「なんだ?」

「あんた、ザックスと仲良いよな?と」

「・・・・まぁそれなりにな」

そう言うとレノは声を上げて笑った。

 
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