小説1

□浸食
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ぐるぐると思考回路をひとつの考えが回る。

レノの白い脚が。細い首筋が。なまめかしいラインが。赤い髪が。

「レノ…」

「…俺…ザックスのこと…」

「それ以上言うんじゃない」

聞きたくなくて口を塞いだ。

絡め捕られた神経。
痺れた舌。
寄せられた想い。
それを引き千切った想い。

「ん、はぁっ」

涙目で行為に応じるレノ。
見たくないから目隠しをした。

「ザッ…ク、ス…」

滲む涙。止まることも知らずに。
レノは一心不乱に腰を振る。


レノ・・・・
初めて見たときから私はお前に浸食されていた。
それはザックスも同じだった。
ザックスの想い人、ザックスのレノ。
私のものには決してならない…
レノの想いがザックスに在るのもクラウドを気にしていたのも総て総て知っていたよ。
レノ、レノ。
ザックスが戻ってきたらやがて知るだろう真実。
それまでお前を抱かせてくれないか…






額に落としたキスは、彼のような音楽に溶け込み、静かに消えていった。







end
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