小説1

□愛育
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朝ご飯。

フレンチトーストに目玉焼き、生ハムのサラダ。

今日は素敵な俺様、ルードのおうちにお泊まりしにきた。
自慢の赤毛の先っぽが焦げてるのは、気のせいだぞーっと。

「レノ…机にぽろぽろ落とすんじゃない」

向かいの席に座るルードが手を伸ばして俺の口を拭う。

「まったく…子供みたいだな」

呆れたように言ってるけど、口許は緩く弧を描いてる。

ルードは、俺に優しい。

「へへっ」

にんまり笑ってありがとうと言うと
「もうあんなことするんじゃないぞ」と釘を差された。

あんなこと…

昨日の夜。
ヤカンに火をかけたまま出掛けてしまって、俺の部屋は燃えてしまった。
火事ってやつ。
ちょーびっくりしたぞ、と。

「ほらレノ、制服を貸してやる」

食べ終わるとルードがクローゼットを開けて俺を呼んだ。

「いやだぞ、と。
あんたのどでかい制服、俺が着れるわけないだろ、と」

「・・・・じゃあどうするんだ?」

会社は、と目で訴えられる。

「シャツだけ貸してくれよ、一番ちっちゃいやつ」

「ネクタイはしていけ」

「やぁーだぞっと」

ルードはまたしかめっ面する。
でもやっぱり口許は笑ってるんだ。
ルードは俺に優しい。


俺んちが新しく見付かるまで、俺はルードのおうちにお世話になることになった。
 
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