小説1

□愛育
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2人揃って出社すると、主任が驚いた顔をして俺たちを出迎えた。

「レノが遅刻しないとは」

「…失礼ですよ、と。ツォンさん」

でもすぐに俺の格好を見て顔をしかめた。

「制服は、」

「燃えてなくなりましたよ、と」

これもルードのシャツです。
そう言うと溜め息をつかれた。

「お前はいつになったらちゃんとするんだ」

「期待しないで待ってて下さいよ、と」

ツォンさんはもういいと言って手で追い払う仕草をした。

ガタン

デスクに着くとロッドが寄ってきた。

「燃えたってどしたんだよレノ」

俺の制服を指差す。

「火事になった」

「…こりゃまた間抜けた先輩だな」

「うるさいぞ新人」

「んじゃ家どうすんの?」

「ルードんちに泊ってるぞ、と」

「はぁっ!?」

ロッドは眉間に皺を寄せて不満そうな顔をした。

「なんで俺んち来ないんだよっ」

「いや意味がわからんお前、と」

俺は今日のスケジュール表を見ながら言う。
ぁ。今日はルードと任務だぞ、と。

「うちに来いよ」

「ルードんち追い出されたら頼むぞ、と」

絶対だからな!とロッドに肩を掴まれたのでちょっとムカついて殴ってやった。
なんなんだコイツは。

ルードの方に目をやるとあっちもこっちを見ていた。

「ルード、行くぞっと」

「…あぁ」

後ろではロッドがルードを睨んでる。
俺たちはそれを軽やかに無視して任務へと向かった。
 
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