小説1
□弔いの丘
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手を、繋いでいる。
見慣れたその手。
しなやかな指先。
「ザックス」
俺は笑っていて、ザックスの瞳に映る空を覗く。
「今日は何したい?レノ」
「たまにはあんたのしたいこと、したいぞっと」
そう言うと、口唇が降りてきて、強く抱き締められた。
「こうしていたい」
強く強く、
「レノと、ずっと」
俺を抱き締める、
「ずっとこうしていたい」
慣れた感覚。
燻る匂い。
お日様のような。
「俺も、ザックス」
「離れたくない」
「離れたくないよ」
死ぬまでずっと。
死んでもずっと。
「あんたさえ居たら、あとは、何も」
でもレノ、俺はもう居ないんだよ