小説1
□楽園
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「ねぇレノ」
「なに、ヤズー」
白い裸体が二つ。
くすんだ部屋に影を落とす。
「お腹空かない?」
「空いた〜死にそう〜」
じたばたと駄々っ子のように手足をばたばたさせるレノに苦笑いして、部屋の隅にある小さな冷蔵庫を覗くヤズー。
レノはじっとベットに蹲って見ている。
「レノー、ピザでも取ろうかぁ」
ミネラルウォーターを片手にヤズーが戻ってきた。
「空っぽなのか?と」
「んーあるっちゃあるけど、」
面倒臭いじゃん。
ヤズーはそう笑ってペットボトルをレノに手渡す。
「んなーお腹空いたぞ〜っとぉ」
「電話貸して」
レノの携帯の電源を入れる。
途端に鳴り出す携帯。
「・・・・」
着信音が鳴り響く。
デジタルの文字が綴るのは、"ルード"の文字。
「だれぇ〜?」
のんびりとしたレノの声。
「…あんたの相棒」
ピッ
『レノかっ!?今どこに――――』
プツンッ
ツーツーツーツー
「ははっルードの慌てた声なんて、初めて聞いた」