小説1
□楽園
3ページ/6ページ
「好きなんだよ、レノのこと」
不敵に笑うヤズー。
レノを見下す目。
「怒った?ヤズー、と」
「ちょっとね」
くすくす笑ってレノに覆い被さる。
しなやかな身体が、細いレノを押し倒していく。
「…また、スるの?」
「少し黙って」
「ん…」
締め切られたカーテンの隙間から、少しの陽射が漏れている。
繁殖を伴わない行為。
歪に繋げられた身体。
照らされる二人は、哀しい程滑稽に映し出された。
「レノ、好きだよ」
「・・・・・・」
「好きだってば」
「・・・・・ぅん」
長い睫毛が影を作る。
閉じられた薄い瞼。
まるでヤズーの言葉を拒否するように。
小さく、小さく振り絞った声。
身体はこんなにも簡単に繋がるのに。
ねぇ、どうしてだろう。
君と俺は、いつまでたっても、心通わないまま。
ゆったりとベットに身体を預けるレノの背中を撫でる。
滑らかな肌。
背骨をなぞる。