小説1

□楽園
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「少し、痩せたね…」

「ヤズーが食わせてくれないからだぞ、と」

「わかったよレノ」

さっき電源を入れた携帯を手に取ると、デリバリーピザの番号を押した。

「ヤズーが悪いんだぞ、と」

プルルルル プルルルル

はいもしもしこちら―――

「ヤズーが悪いの…」

はい、わかりました では30分後に――――

「ヤズーが、俺を監禁したりするから」

プツッ

「30分後にピザ来るってさ」

「・・・・ヤズーのバカ」

ぽそりと呟いた反抗の言葉は、彼には届かなかった。

そしてまた切られた携帯の電源。

ベットの脇に、放り投げられて、無機質な音が鳴った。

「・・・・・」

久しぶりに聞いた、ルードの声。

相棒…

「レノ」

後ろから、抱き締められる。
ヤズーの温かい身体。
それだけ。
今のレノを支える総て。

「レノ、愛してるんだ」

「・・・・・」

「愛してる」

「愛してるよレノ」

「レノ」

「レノ」

「レノ」

「ごめんねレノ」

「愛してる」
 
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