小説1
□車輪の下で
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「ルード、レノはどうだった?」
「・・・・・・」
緩く、首を振る。
「だめです…まるで何も聞こえてないようで…ただ二人の名前を呼んで、蹲ってます」
「そうか…」
ルードの答えに、顔を塞がせるツォン。
沈黙が二人を包む。
「・・・・・・社長が居なくなって、もう五日か」
ツォンの呟きに、ルードは何も返さなかった。
神羅ビルが崩れて五日。
コンクリートの山。
そこにあった筈の風景。
あの時レノは、笑っていた。
自嘲めいた小さな笑い。
瓦礫の中を彷徨って。
「くくっ」
「レノ?」
見慣れた小さな後ろ姿に、ルードが声をかける。
「あははははっ社長のバーカ!」
「・・・・・」
腹を抱えて、本当におかしそうに。
「ははっそうだよなっと。結局あんたもそうなんだよな。はははっ」
華奢な身体を大地に伏せて。
「レノ…」
レノは笑った。
「ふふっくっ…」
「・・・・・・」
「はは…」
「ああああああああぁッッッ―――――――!!!!!!!!」