小説1
□ヘヴィーベイビー
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「ザックス」
振り向く前に聞き慣れた声に反応して名前を呼んだ。
「レノーw」
「ゎぷっ」
そんでいきなり胸中に納められる俺。
筋肉バカの腹筋がおでこに当たって痛い…。
「レノーw可愛いなぁ可愛いなぁ♪」
思いっ切りすりすりされる。
この姿になってもう何回もコイツのこの攻撃をくらってる。
前よりも更に華奢になった身体は、ゴツいザックスの腕にすっぽりぴったりハマっちゃって。
居心地がいーような悪いよーな。
「…離せよ、と」
「・・・・・・」
ドスの効いた声と鋭い目付きで睨んでも。
「っかんわいーーーッッッvV」
甲高い声にしかならないし上目使いにしかならない。
逆効果だ。
「はーなーせーよー!」
「ぃゃぁ〜んレノちゃんwかっわいーー///」
じたばた暴れてもこの体格の差。
逃げれるわけがない。
生憎止めてくれる人もおらず、二人っきりのエレベーターの箱の中。
俺の声だけが騒いでる。