小説1
□君とぼくと。
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「俺、ロッド!あんたは?」
「レノだぞ、と。おい新人、敬語使え敬語」
「レノか。よろしくな」
「呼び捨てされる覚えはないぞ、と」
「綺麗な髪だな、染めてんの?」
「耳ないのかよ新人」
「新人じゃない、ロッドだって」
「けーご使えワン公」
そんなやりとりを、何度か繰り返す。
その度に蹴っ飛ばしてる。
耳の悪いらしい、新人。
ついでに頭も悪いらしい。
学習能力まるでナシ。
「おいルード!」
痺れを切らして相棒を呼んだ。
パソコンを叩く音が止んで、ルードがこっちに目をやる。
相変わらず、サングラスで奥の目は見えない。
「…なんだレノ」
「替われ」
「何を」
「子守」
ルードが仕方がない、と溜め息を吐いて席を立つ。
俺もそれを確認して煙草片手にオフィスのドアに向かう。
が。
ぐんっ!
「い゛っ…!」
突然髪を引っ張られて、首がのけ反った。
「やだよ、俺、あんたがいい」
犯人は勿論このワン公。
まだ短い赤髪を掴んでおいて、この一言。
「て、めぇ〜…」
さすがに、頭にきた。
「日干しにしてやるっ!!」
「ゎっ!ちょっ、なんで!?ι」
電磁ロッドを振りかざして逃げ惑う新人を追いかけた。
「・・・・・」
それを黙って見てるルード。
「待ちやがれっ!」
あぁ、苛々する。
「俺なんもしてねーじゃん!ι」
あぁ、苛々する。
「黙れこのバカ犬!!」
「ぎやあああぁっ…!!」
あぁ、ほんと。
「レノ、やりすぎだ」
苛々する。
「悪いのはこいつだろ、と。んじゃ後は頼んだぞっと」
俺はルードを見ない。
少し焦げた新人を踏んでオフィスを出た。
後ろから聞こえた、ルードの深い溜め息。
あぁ、もー。苛々する。
新人も、あんたも。