=金色のコルダシリーズ夢=

□星に願いを
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曲を弾き始めて何秒かすると志水くんが起き上がる気配がした。


「あ、起きた?」


「あ・・・すみません、寝ちゃってました・・・」


「ううん、かわいかったし、いいよ」



「かわ・・・・。・・・あの、今の曲は・・・?」



「『星に願いを』だよ、有名だし、聞いたことあるんじゃない?」


「はい・・・どこかで・・・あ。」


何かに気づいたように顔を上げた。

・・・どうしたんだろう?

何か変なこといったっけ?



「先輩、この前、練習室で弾いてませんでしたか?この前、すれ違ったときの・・・」


「え?ああ、あのときか、うん、弾いてたよ」


「・・・あの、僕、だから一緒に弾きたかったんです。」


「え?」


だからって・・・何だからなんだろう・・・



「あのときの先輩の演奏よかったなぁって。それで・・・」


「そうかなー?やっぱり月森くんとかにはかなわないよー」


「確かに技巧とかは月森先輩の方が上ですけど・・・」


「・・・う、うん」


志水くん、以外にざっくりいうな・・・

いや、わかってるんだけどね・・・




「僕、好きなんです。先輩の音・・・」


その言葉を呟きながら志水くんはかすかに頬
を緩めた。


か・・・かわ・・・かわいい・・・!!



「あ、ありがと・・・う」



「もし、先輩がよかったら、また一緒に演奏してくれませんか・・・?」



「え、うん。私なんかでいいなら全然」


演奏だって実は志水君のほうがずっと表現も技巧もすぐれてるしね・・・・

逆に私じゃだめな気がするくらい・・・



「それと、さっきの『星に願いを』ってチェロとヴァイオリンのデュオとかできないのでしょうか・・・?」


「え?うーん、わかんない・・・」


「・・・・そうですか、・・・じゃあがんばって探します。」



「え、?」


「だから先輩、見つかるまでほかの曲でデュオ、してく・・・れ、ますか?」



「・・・それって見つからなかったらどうするの?」


「見つかるまで、です。見つかるまでさがします・・・。だめ、ですか?」


「だ、だめじゃないだめじゃない!」


捨てられた子犬みたいなしゅんと顔を見せたと思うと、さっきとはうって変わった、今度は、


天使みたいな


「よかったです・・・。ありがとうございます、先輩。」


可愛い笑顔。


『星に願いを』

楽譜、見つからなくてもいいかも。

なんて思ったのが志水くんにバレませんように。
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