DMC book

□ND
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『ネロ、新米を禁煙させろ』


自らの良く知るつかみどころのないおっさんとはまた違ってやりにくいタイプの長が、さわやか過ぎる魔帝の笑みを浮かべてそう吐き捨てたのは今朝の事だ。
ダンテの中でもイレギュラーな立ち位置にいる新米は、嫌煙家で知られるダンテであるはずなのにヘビースモーカーである。
嫌煙家の中に喫煙家が一人。ネロは嫌煙家ではないが喫煙者でもない、別にそれほど嫌うものでも無いのでは思うのだがダンテ達からするとそれは大きな問題であるらしい。
いささか荒っぽい話し合いの末、分煙を条件に新米は禁煙を免れたのだがやはりダンテ、いや長は気に食わないらしい。
ネロが新米と恋人であるという事を考慮し、出来るだけ絵平和的解決ができそうだと、長なりに考えた末の抜擢なのだがネロからしてみればきちんと肩身の狭い思いをしながらもきちんと分煙している新米から煙草まで取り上げるのは気乗りしなかった。



「どうすっかな・・・」


頭をかきながら事務所の階段を降りる。
若と初代は買い出しに、バージルは図書館、事の発端である長はおっさんと一緒に依頼に出かけている。
いつも必ず誰かがいる事務所の中で、珍しく二人きり。どうせなら色々と楽しみたいところなのだが、長の命令がそれを許してくれずネロは新米を目で探しながら溜息をつく。
新米の定位置であるソファにその姿は無く、ならばあそこだろうとネロは分煙における指定場所、キッチンに向かった。



「お、やっぱここにいた」
「なに」
「ソファにいなかったから、ここだろうなと」
「この狭い中でかくれんぼか?」
「たまには悪くないだろ?」
「ネロが見つけてくれるならな」


すでに短くなっていた煙草の火を消し、灰皿に捨てる。新米の性格ゆえか、灰皿は綺麗なものでその喫煙量にも関わらず灰皿が吸い殻で埋もれていることはほとんど無い。
新しく一本煙草を出し、火をつける。
身体に染みついているのだというその行為は、言うだけあって一切の迷いが無い。
煙草を見るため少し伏し目がちになるその姿が、本音を言うと少しネロは好きだ。



「で、どしたの」
「いや?せっかく誰もいないわけだしな」
「お楽しみってか?この昼間から?」
「そんな目で見るなよ…キスの一つくらいいいだろ、ハニー?」



煙草は灰がこぼれないように灰皿の上へ、唇が重なれば口内に広がる苦い煙草の味。
しかし口付けは深いそれに変わることは無く。
少し不満げな表情を浮かべるネロに新米がごめんってと言いながらまだ半分も吸ってないだろう煙草の火を消す。
無造作に置いてある椅子に腰かけながら、立っているネロを見上げる新人に、不機嫌がすこし和らいでネロも同じように椅子に腰かけた。



「なんか長に頼まれてたんだろ?」
「・・・なんで知ってんの」
「初代が教えてくれた」
「マジかよ」
「おう、別に構わないんだけどな」
「何が?」
「禁煙」
「・・・へ?」


ダンテーズ相手にあれほどの抵抗をして見せたというのに、こうもアッサリ禁煙を承諾するとはこれいかに。
分かりやすく首をかしげたネロに新米は少し間をおいて言った。



「・・・禁煙する、んで、禁煙してる間はネロとのキスもガマンする」



あらゆる戦闘をくぐり抜けてきたネロの頭が一瞬、新米の言葉を理解できずにいた。
これはつまり、遠まわしにキス禁止令が出たのだと。ネロは働きだした脳内で長の命令とはいえ無視すればよかった初代なんで教えてんだよというかそんな事我慢しなくていいんだよハニー!!と思考を巡らせて、それでもこくり、と頷いた。
真っ直ぐな新米の目を見て、それはちょっとオレがつらいからやめて欲しいなどと言う勇気などネロにあるはずも無く。



「ご褒美としてキスとか、頑張れる気がするだろ?」


はにかみながらそう言う新米に、ネロは力の限り新米を抱きすくめることしかできなかったのだった。






ちょっと待ってよマイハニー!







新米に禁煙させる話のはずがただのネロいじめである。
あとNDハニーハニー言い過ぎw

ネロ新がもっと増えますように!ネロ新ネロ新!
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