「あのさ、ちょっと寝る場所変わってくれねえ?」




当然の如く二人で寝そべるベッドの上。窓の外は暗闇に染まり日付が変わる時刻、そろそろ寝ようかとバージルが電気を消そうと起き上がったバージルを見上げるようにしてダンテが言った。枕を抱えて自分を見上げる姿に思う事が無いわけではないが、突然の提案の意図も気になる。バージルベッドを降りようとしていた身体をダンテの方に向けて首をかしげた。



「なぜだ」
「オレ今日ピアスホール開けたじゃん?」
「そうだな」



軟派な雰囲気を持つダンテだが、着けたいピアスが特に無かったからと意外にもピアスホールを開けた事は無かった。しかし先日馴染みのシルバーアクセサリーの店で好みのピアスを見つけたらしく、ついにピアスホールを開ける事を決意したのだった。
さんざん自分で開けると言っていたくせに「やっぱり怖いからバージル開けてくれよ」とピアッサー片手に己の元にやってきた時は少し面倒だと思ったが、ぎゅっと目を瞑る姿に悪くないなと笑みを浮かべた記憶が新しい。左耳は確か勇気と誇りの象徴…だっだろうか。



「で、それがどうして場所を変える事に繋がるんだ」
「いやなんていうか、ホールが安定するまではさ、左向いて寝られないから」
「ないから?」





「バージルの方を向いて寝れない…」





変えっこしよう?



end.

2012.04.10.






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