Syusai-S-


□二人だけの
1ページ/1ページ

「サイコー、俺さぁ仕事場来るのやめるわ……」
「……は?」

突然の秋人の不可解な言葉に、すっとんきょうな声が出てしまった。

「え?ちょっと待て……どういうこと?」
「俺さ、見吉の家でネームすることにしたからさ」
「……………ふーん。勝手にすれば?」

本当は行ってほしくなかったけど。
秋人が決めたことなら最高は何も口出さないことにしているから。
最高はあえて、引き留めることはしなかった。


(シュージンが来なくなって3日か)
たかが3日。それでも、ほぼ毎日一緒にいたから、とても長く感じられる。
何もする気が起きなくて、少し寝ようと目を閉じた時、
携帯のバイブ音が鳴り響いた。

「シュージン……?」
3日ぶりの電話。きっと見吉の家からかけているのだろう。
最高は寂しさを感じさせないように、と意識しながら電話に出た。

「なに?ネーム出来たのかよ」
「ああ。見せたいから駅まで来て」
「……見吉の家まで行くけど?」
「えっ、駄目だって。じゃ、駅でな」

そう言って電話は切れた。

「なんだよ……そんなに見吉が大事か」
見吉の家に来てほしくないということは、
俺を見吉に会わせたくないということ。
少し泣きそうになりながら、最高は駅へと重い足取りで向かった。

「よっ、サイコー」
「はやくネーム貸せ。俺今忙しいから」
「あー、うん。ちょっと付いてきてくんね?」
「はぁ?俺が今言ったこと聞いて……」
「いいから早く!」

腕をつかまれて、仕方なく最高は秋人に付いて行った。
行き先はもちろん見吉の家でも仕事場でもなく、
最高の知らないマンションの前だった。

「……なに、ここ」
「俺の新しい仕事場。202号室な」
「は?見吉の家ってのは…?」
「ああ、あれ嘘。びっくりさせたかったから」
秋人はにっこりと笑って、最高を部屋へと招き入れた。

(見吉とイチャついてたんじゃなかったのか。よかった……)
正直死にそうだったから、本当に本当に最高は安心して、涙が出そうになった。

「シュージンの馬鹿……寂しかったんだぞ……」
秋人の服の裾をつかんで呟くと、秋人は最高を思いきり抱き締めてキスをした。

「ごめんな。最近アシスタントとかで二人きりになれなかったじゃん……?だから、新居用意した」
「ふっ、あほらし……」
「アホで結構」

二人で見つめ合っていると、秋人の肩越しに仕事場には似つかわしくない物が
異様な雰囲気を放って佇んでいた。

「シュージン……?なんで、あんなおっきいベッドが……?」
すると秋人は怖いくらいの笑みを張り付かせて最高を抱き上げると、
そのベッドの上へ最高を押し倒した。

「仕事場兼ラブホみたいな」
「!!!」

(絶対、ヤる目的の部屋だ―!!)

そう悟った最高はベッド上からの脱走を試みるが、
秋人の手によってそれは阻まれ、あえなく失敗に終わってしまった。

「さ、サイコーちゃん。これで誰にも邪魔されないし、俺と遊ぼ」
「や、やだーっ!」

その後、散々秋人に攻め立てられた最高は、

それでも秋人が離れて行かなくてよかったと改めて思ったのであった。



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ