Syusai-S-


□ずっと待ってる
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「……だめだな」
「えっ」
「シュージン、これ没な。他ので頼む」
「……あぁ。わかった、書き直すよ……」

相当疲れがたまっているようだ。
ここ最近秋人はネームにかなりてこずっている。
子供が真似出来るような完全犯罪を考え出さないと「PCP」の面白さは出ない。
だが、実際に子供達が真似をしたせいで苦情も相次いでしまっている。
そのせいで悩むのも分かるのだが、これでは全く駄目だ。
最高はため息をつくと、頭を抱える秋人を後ろからそっと抱き締めた。

「……サイコー?」
「…………待ってるから。ずっと……」
「!」

今自分に出来ることはなにか。
考えてみたが、出た答えは一つしかなくて、ずっと側にいて秋人を支えるということしか思い浮かばなかった。
最高に話作りは出来ないけれど、秋人には絵を描くことが出来なくて。
二人いるからこそ、亜城木夢叶は亜城木夢叶でいられるのだ。

秋人は少しの間呆然としていたが、自分を抱く最高の腕に手を重ねると、再びネームを書き出した。

「あぁ。待っててくれ、サイコー」
「うん」

最高は秋人の背中に顔をうめて、それからしばらく寄り添っていた。

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