過去拍手

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最近、最高が妙に優しい。
授業中に後ろから最高を見つめ、最近の最高の行動を振り返ってみる。
今までコンビニなどへの買い出しは、時間的に余裕のある秋人が主に行っていたのだが、最近は行こうとすると最高が代わりに行くと行って聞かない。

やけに体調はどう、とか聞いてくるし、一体どうしたのだろうか。
その不可解な優しさは学校にいる時も変わらず、周りの人達も訝しげな顔で通りすぎて行く。
何せ、最高のクールさは学年では周知の事実であるからだ。

何人かに「サイコー、何があったんだ?」と聞かれた秋人だが、

(そんなの、俺の方が知りてーよ!!)

今日、仕事場で聞いてみよう。
そう決意し、秋人は授業中にも関わらずシミュレーションを始めた。




「なぁサイコー、一つ聞いていいか?」
「ん?なに」
軽く首を傾げ、上目使いで秋人を見つめる最高にくらくらするが、そこはシミュレーションのおかげで、何とか理性を繋ぎ止めることが出来た。

「最近さ、なんか俺に優しいよな。なんかあったのか?」
その途端、最高が急に立ち上がり、動揺した様子で辺りをうろつき始めた。
どうやら秋人に感付かれないよう優しくしていたつもりらしいが、結局はバレバレだったわけで。

「ぷっ……サイコーって、手先以外はほんっと不器用だよな」
「う、うるさいっ!バカシュージン!」

(サイコー顔真っ赤……。やばい、今すぐぎゅってしたい)

けど今そんなことをしたら、確実に口をきいてくれなくなるので、秋人は必死で理性を保った。


「で?何で最近俺にこんなに優しくしてくれるわけ?嬉しいけど」
「え?それは……」

恥ずかしいのか、目を泳がせるだけで最高は中々理由を言わない。
「言わないなら、襲っちゃうけど……?」
「!わかったって!言うから!」



最高は秋人に抱きつくと、ぼそぼそと
「俺……いつも意地っ張りでシュージンにありがとう、とか素直に言えてないじゃん……?
言おうと思ったけど、やっぱり恥ずかしいから行動で示そうと……」
「サイコー……」
サイコーの、やっぱり不器用な優しさに涙が出そうになる。


「シュージン、キス、してもいい?」
「うん」
お互い沢山の思いを込めて、口付けをする。
最高の、秋人の唇の温かさに、二人は見つめ合って微笑む。


「俺はサイコーがそばにいてくれるだけで十分だよ。」
「俺も。シュージン、大好き。ありがと」
「うん」



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