過去拍手

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密。密着。まるで接着剤でくっつけたかのように。
最高は目を数回瞬かせ、今のこの状況に至った経緯を思い出そうとした。
何故自分は秋人とこんなに密着して布団に寝転がっているのだろうか。
当人はすやすやと熟睡していて、ちょっとやそっとのことでは起きそうもない。
ふと窓を見ると外はまだ真っ暗で、携帯を開くと
ぼんやりと明るい画面に出た三時という時刻。

「だりー……」

確か、原稿を二徹くらいで必死に描いていたのを
秋人に怒鳴られ、無理矢理寝かされたような。

身体を起こそうとすると腰に鈍い痛みが走った。
辺りを見回すと暗闇の中にぐちゃぐちゃになった服が投げ捨てられていた。

(そっか、それでも寝ようとしなかったから無理矢理されたんだっけ……)

秋人の寝顔を覗き込むと、なにかが足りなくて顔が幼く見えた。
メガネがないんだ、と思って見回しても見つからないそれ。
手探りで探そうと指先を動かすとすぐそこにメガネはあって、
最高が秋人の顔から抜き取ったことを物語っていた。

というのも、最高は情事の最中、秋人に感じている顔やら身体やらを見られるのが嫌で、せめてもの抵抗としていつもメガネを外していたからだ。

最高は腕を伸ばして無造作に投げ捨てられた服をつかみ、
それを羽織ると秋人の髪をそっと梳いた。
意外にも指通りの良い髪がさらさらと流れ落ち、秋人の頬に被さる。

「シュージン……。寝顔、初めて見たな」

いつもとは違う秋人の顔。
自分の顔を近付けて、そっと唇を重ねた。
触れるだけのキス。それでも最高にはとても勇気のいる行動で。

(恥ずかし……。シュージン、寝たフリしてるとかないよな)

そう思ってしばらく秋人の顔をじっと見つめてみるが彼は目を開けない。
よかった、と安心して最高は秋人の胸に顔を押し付けるようにして再び目を閉じた。
すると、最高の身体を包むように腕を回され、最高はびくっと身体を揺らした。

「っ?!」
「残念、起きてました〜」

驚きで声が出ない。
暗闇でも秋人が勝ち誇った笑みを浮かべているのが分かって、最高は羞恥で顔を真っ赤にした。

(やっぱりするんじゃなかった……!)

後悔の波にのまれるが、時既に遅し。
最高は秋人の身体を押し退けようとしたが、秋人の腕が最高を強く拘束して許さない。

「最悪……っ!」
「なんで? サイコーからキスしてくれたのって初めてだよなぁ。それとも、俺が寝てる間に実は何回もしてくれてたり?」
「してねーよ、馬鹿っ!」
「なあ、もう一回ちゅーして?」
「絶対しない!」

秋人が最高の身体を更に引き寄せてキスを促す。
最高は秋人の足を蹴り、退かせようとした。
が、足が秋人の股間を掠めた時、最高はぎょっとして秋人の顔を見た。

「なに、勃たせてんだよ……っ!」
「なんか抵抗するサイコーを見てたら……。な、しようか」
「この……っ、変態……!」

秋人が起き上がり最高に馬乗りになる。
指を絡ませて手を繋がれ、最高はその体温に息を吐いた。

「キス、すっげー嬉しかった」
「……ん」

目をそらして頷くと、秋人が嬉しそうに最高の頬にキスを落とした。


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