黒バス


□僕の知らない君
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「やだ……! 黄瀬くん、……やめてください、」

自分でも声が震えているのがわかった。
こんな黄瀬を黒子は知らない。知りたくもない。
黄瀬が黒子の怯えを感じ取って愛撫を一瞬止め、上目遣いで黒子を見た。

「黒子っち………、」
「僕は黄瀬くんのことが好きです。だけどこれは…………、これは、違うと思うんです……」
「っ………、」

純粋に、友達だと思っていた。友達として好きだった。
黄瀬の言う好きとは違う感情。まるで噛み合わない歯車のように。

「じゃあ………、どうすれば黒子っちは俺のことを好きになるんスか」
「…………ごめん、」
「好きなんスよ……、本当に……」
「黄瀬くんは見た目だけで好かれるのがイヤだって知ってます。だから、見た目をとやかく言わない人を求めてるだけ……きっとそれは本心じゃない、」
「黙れ!」

突然の怒号に黒子は驚いて目をみはった。
黄瀬が見たことのないような怒りを宿した表情で黒子を睨む。
思わず怖じ気づいて身動きが取れなくなってしまった。

「き……、せくん……?」
「黒子っちは、俺の言うこと信じてくれないんスね。ずっと見てた。ずっとずっと、俺は黒子っちだけを見ていたのに……」
「黄瀬くん、やめ………、」

黒子を無造作に壁に押し付けて両手を片手できつくつかむ。
必死に抵抗するが、彼より遥かに下回る体力ではほとんど意味を成さなかった。

「無理っスよ。力じゃ俺に敵わない」
「い………やだ………っ、」

こんな黄瀬を、僕は知らない。知りたくなかった。

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