黒バス
□気付かないまま、
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「仕方ないですね」
「ヤらせてくれんの?」
「違います。青峰くんだけ気持ち良くなってもらいます」
「あー……。でもテツ、フェラ下手だしなー」
「………別に嫌ならいいですよ」
「はっ!? いや、嘘だって! 悪かったよ」
「必死ですね」
「うるせえ早くしろ」
日が暮れてからどのくらい経っただろう。
いつものように一人で練習するテツを追って俺も居残り練習をするようになってから大分経った。
いつからだろう、誰も来ない、二人だけでバスケの練習が出来るこの場所が、この時間が他のどんなことよりも好きになったのは。
帰る時はそのままお互いの家に泊まりに行ったこともあるし、何度だけ疲れ果ててここで爆睡してしまったこともある。
ここまでは何ら変わりない、仲の良い友達だった。
いつからだろう、その関係が脆くも崩れ去ってしまったのは。
どちらからキスしたかなんて覚えていないし、気付いたらセックスの回数だって増えていた。
気付けばテツが感じるところは目を閉じていてもわかるようになっていた。
いつからだろう、俺達の歯車が狂い出したのは。
「んっ、ん、は………」
「もっと舌使えよ、下手くそ、」
「あ…………、んん、」
薄く電気を灯した体育館の舞台袖、俺達は息を荒くしてそこにいた。
誰もいない体育館の静寂の中で、俺の息遣いとテツの声だけが冴えた聴覚を蝕む。
毎日のようにこうしてお互いを求め合う。
幸せだと思った。俺は。
テツがどう思ってるかなんて聞いたこともない。
でもきっと、俺と同じなんだろ。
だって俺とお前は一心同体も同然なんだから。