Syusai-N-


□どんなキミでも 1
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まさかこんなことになるとは…。

「うちのクラスの出し物は喫茶店に決まりました!」

文化祭。
今まではやる気のある人達が率先して参加してくれていたこともあり、最高はほとんど傍観しているだけだった。
正直、学校行事なんかどうでもいいし、漫画も描かなきゃいけないからそんなことにうつつを抜かしている暇もない。
だが今回はそうもいかないようだ。

何故なら男子は必ず接客をしないといけないという決まりになってしまったから。
それが普通の喫茶店だったなら、まだ仕方ない、で済んだだろう。しかし、どうやら普通の喫茶店とは全く違うらしい。

「女子は全員厨房に回ります。男子はメイドさんになって接客をしてください!」
「はぁ〜?」

男子達から訝しげな声が上がる。というか当然の反応だ。
男子が女の格好をするなんて、考えただけでも気分が悪くなる。
しかし実質、男子は何も案を出さなかったわけで、強く反対出来る立場ではなかった。


そして文化祭当日。

「痛っ!!」
「もっとゆっくりやれよ〜」
「仕方ないでしょ」

教室に入るや否や、男子達の悲鳴が最高の耳をつんざく。
何事かと傍の女子に聞くと、なんと無駄毛処理をしている最中らしかった。
処理…というか、女子の手にあるガムテープを見る限り拷問にしか見えないが。
そして既に何人かはメイド服を着ており、自虐の波に飲み込まれていた。
まあ、無理もないだろう。メイド服なんて似合わないのがオチだ。

奥ではシュージンが、例に漏れずメイド服姿で拷問を受けていた。

(シュージン、きも……)

だが人のことを呑気に言える立場でもない。
呆然と突っ立っていると、一人の女子が最高に近付いてきた。

「ささっ、真城くんも着替えて!無駄毛も処理しちゃお」
「あ……うん」

登校中、どうしたら文化祭を休めるものか思索していたが、やはりここは覚悟を決めるしかないようだ。
最高は女子から手渡されたメイド服に、渋々腕を通した。

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