Syusai-N-
□気付いて。分からない。
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「サイコー、いい加減寝ろよ。昨日もろくに寝てないだろ」
「眠くない。それに、シュージンだって今が頑張り時って分かってるだろ?」
「だからってサイコーが倒れたりしたら元も子もないだろ!」
やっとTRAPの連載が軌道に乗ってきた。
夢にまで見た連載、憧れだけでは分からなかった苦痛と疲労。
ネームは話さえ思い付けばすぐにでも形に出来る。
だが、作画となるとそうはいかない。
秋人のネームの清書に下書き、そして最も重要なペン入れ。
その全てを、最高は今まで一度も弱音を吐くこともなく成し遂げてきた。
もちろん、これからだって最高は弱音一つ吐かずに、
ただ上だけを目指して漫画を描き続けるのだろう。
本人はそれでいいかもしれない。秋人だって、努力は嫌いじゃない。むしろ好きだ。
だが、最高のは努力をとうに通り越していて、ただただ
周りや自分自身のプレッシャーや期待から逃れるために、描いているだけのようにも思えてくる。
どうして伝わらないのか。
秋人にとって漫画は二の次で、一番大事なのは最高だというのに。
いくら説得したって、最高は子供のように反抗し続けるだけ。