Syusai-N-


□だって恥ずかしいから
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集英社では、年明けに漫画家達が集まる、所謂新年会なるものがある。

TRAPを連載している最高と秋人も、もちろん参加していた。
そう、参加だけならよかったのだ。
秋人が変なことを言うまでは―


「僕、面白い企画を考えたんですよ!」

服部に何やら楽しそうに提案をしている秋人。
(何やってるんだ、シュージン……)
あんなに楽しそうな秋人は珍しい。気持ち悪いくらいだ。
途中、最高が見ていることに気付いた秋人は、焦った様子で服部に内緒話をしだした。

(なんなんだよっ、シュージンのやつ!!)

もうすぐ新年会だが、その時も秋人はああやって服部と話しているのだろうか。
たかが編集に焼きもちを妬くなど恥ずかしい気もするが、
そんなことを思わざるを得ないくらい、二人は楽しそうだった。


そして憂鬱な気分のまま迎えた新年会。
相変わらず秋人と服部は楽しく会話をしている。

(相方をほっとくなんて……)

最初は怒りしか湧かなかったが、最高も流石に不安になってきた。

(あんなに楽しそうなシュージン、見たことないかも…)

そんなことを思いながらため息をついた時、急に辺りが暗くなり、驚いていたのも束の間、
最高が向いていたのとは反対側に照明が当てられた。
そこにあったのは服屋などにある簡易試着室。
何故この場にそんなものがあるのだろうか。

ずらりと林立する試着室の後ろから現れたのは、先程まで秋人と談笑していた服部だった。
マイクを持つと、顔を輝かせながら声を張り上げた。

「今日は、亜城木夢叶―高木くんの提案で、コスプレロシアンルーレットをします!」

(はぁ〜?)

頭のおかしい秋人と話をして、ついにイカれてしまったのだろうか。
なんて本人に言えるわけないが、本気でそう思ったのだから仕方がない。

(って、シュージンが話してたのってもしかしてこのこと?)

だとしたら、何とアホな男なのだろうか。
しかも男しかいないこの新年会でコスプレ?
精神科医を紹介した方がよいのだろうか。
と考えている間にも、最高以外の作家達は「面白そうだ」などと次々賛同してい
る。
既に始まってしまったことなのだ、と最高は潔く諦めた。
秋人と服部が最高に奸計を巡らせているとは知らずに。




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