Syusai-N-


□全部好き
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約一ヶ月ぶりの二人きり。
コンビを解消してから最高に会うのは学校だけだった。
朝は一緒に登校していたが、そんなのは形だけでほとんど会話らしい会話はしていなかった。

「シュージン! なんか喉渇かねぇ?」
「そうだなー。炭酸系が飲みたいかも」
「じゃあ、俺買ってくるわ。コーラでいいよな」
「え?あ、あぁ……」

最高は終始、変な笑みを貼り付かせて外へと出て行った。
コンビを再結成してから、どことなく秋人に対する最高の態度は異様な程優しかった。
きっと気を使っているのだろう。
今回、二人の間に亀裂が生じたのは秋人がネームを怠ったことにある。
だが最高も秋人を疑い、怒りをぶつけた。
結局悪いのは両方で、最高だけに責任があるわけではない。


けれどあの最高のこと。
強い責任と後悔を感じ、秋人に優しく接してくれているのだろう。
だからといってこのまま最高が罪滅ぼしの様に秋人の意見を優先し続ければ、
ある意味最初の読者でもある最高からネームの悪い箇所を聞くことが出来ない。
それは困る。なんとかして最高の罪悪感を消したい。

などと考えているうちに玄関から最高の声とビニール袋の音が聞こえ、
秋人は椅子から立ち上がると最高を迎えた。

「ただいま。アイスとかお菓子とかも買ってきた」
「サンキューな。……あのさ、サイコー」
「ん? どうした?」

最高がすぐにでも食べたかったのか、買ったらしい棒アイスを舐めながら首をかしげる。
チラチラと見え隠れする赤い舌に吸い付きたい衝動をありったけの理性をかき集めて抑え、
秋人は最高からビニール袋を受け取ると彼をソファーに座るよう促した。

改まった秋人の態度に最高が不安気に眉を寄せる。
食べ終わったアイスの棒を手持ち無沙汰に弄び、窺うように秋人を下から仰ぎ見た。

「シュージン……? 俺、なんかシュージンの気に障ることした?」
「違うって。むしろその逆。コーラとアイス、ありがとな」

そう言って優しく微笑むと、最高はほっと安心したように肩を撫で下ろし、アイスの棒をゴミ箱に捨てた。

(やっぱり大分責任感じてるな。サイコーだけが悪いわけじゃないのに……)

秋人は最高の隣に腰掛けると、ゆっくりと最高の肩に手を置き、驚く彼の顔をじっと見つめた。

「サイコー、責任感じてるだろ。自分のせいでコンビ解消、色んな人に迷惑をかけたって、」
「……だって事実だろ? シュージンのことを信じなかった俺がいけないんだ。……本当ごめん」
「謝ってんじゃねーよ……」
「謝ったくらいで許されるなんて思ってない。けど、気持ちは本当だから。悪いと思ってる……」
「そうじゃなくて!」


滅多に聞かない秋人の大声に、最高がびくんと身体を揺らす。
秋人は逃げるように目をそらす最高を見つめ、手首を強くつかんだ。


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