Syusai-N-


□息抜き
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「はあー……、疲れた……」
「おつかれ」

シャーペンを置いて伸びをする。
苦笑しながらコーヒーの入ったカップを手渡すサイコーの顔にも少し疲れが浮かんでいた。

カップを受け取って一気に飲み干す。飲み干すもんじゃないけど、ずっと飲まず食わずでそんなこと気にもしなかった。

一人掛けのソファーにどさりと座り込んで天井を仰ぐ。
蛍光灯が眩しい。目を細めるとサイコーの近付く気配がして俺は顔を戻した。

「………えっと。サイコー?」
「昔よくやらなかった? 冗談でホモみたいなの」
「ああ………、」

俺の股の間に座り込んだサイコーを見て、思わずごくりと唾を飲み込む。
すっぽりとそこに座るサイコーは身体を預け、俺の手をつかんで自分の腹に回した。

肩越しに上目使いをするサイコーは無邪気な子供の様で、何だか無性に頭を撫でてやりたくなった。

「まあ、俺らはみたい、じゃないけどな?」
「………だな、」

サイコーが小さく肩を揺らして目を伏せる。
やっぱりその辺に関しては負い目があるようだ。
男同士というのは何かと障害が多い。
周りに関係がばれれば蔑む目で見られる可能性も高く。

「子供はいいよな、何しても許されるんだから。……ごめん、どくわ」
「……ん、」
「…………おい、」
「なに」
「離せ、」
「やだ。つか、誘ったのはサイコーだし?」
「誘ってないから、」

そそくさと立ち上がろうとしたサイコーの腰をつかんで拘束する。
サイコーはびっくりしたのか目を見開いて俺を振り返った。
まさかここまで煽っておいて何もしないなんて。

サイコーの首筋に唇を寄せると、くすぐったそうに身をよじる。
引ける腰をつかんでそのまま股間に手を伸ばすと、サイコーは頭を振って「だめだってば……、」と呟いた。

俺は首筋に軽く歯をたてて行為をやめないことを示す。
サイコーの腰を拘束しているから、自由なのは片手だけ。
いつもよりゆっくりとした動きでベルトを外し、その隙に逃げようと試みるサイコーの耳に舌を這わせた。

「ひ……、」
「じっとして。な?」
「んん………、」

サイコーがぎゅっと目を閉じたのを確認して、俺は中に手を滑り込ませた。
サイコーの髪に顔をうずめて彼の陰茎にそっと触れる。
幼さを残したそれは先端を少し擦っただけでとろとろと先走りが溢れ出した。

しどけなく開けられた口から唾液が垂れて唇を濡らしている。
その唇から荒い息遣いに混じって小さく声が洩れた。
サイコーの感じている声。
吸い付きたい衝動を押さえ込んで俺は愛撫を続行した。

「はあっ、……あ、シュージン、っ、」
「……サイコーちゃん、気持ちい?」
「ぅ、ざ………」

気が付けば俺は腰ではなく腹を抱え込むように腕を回して完全にサイコーを拘束していた。
サイコーはもう逃げるどころではないのか、頭を俺の肩に預けてはあはあと喘いでる。

加えて腰辺りに俺のモノが当たるらしく、恥ずかしそうに腰を浮かすサイコー。

先端が弱いことは知っていたから、そこばかり攻めた。
割れ目に沿って指先を這わせると、サイコーは女の子みたいな甲高い声で喘いで頭を振った。

邪魔くさい衣服を取っ払って、滑りの良くなったそこを容赦無く扱くと、サイコーの足がびくびくと痙攣した。

「や、それ、だめだってば……ッ! やだ、イク、ぅ………」
「イッていいよ」
「んぅ…、っ……、」

手の動きを速め、もう片方の手で太股を押さえ付けてやると、サイコーは俺の服を強くつかんで達した。

「はあッ、もっ………ばか、」
「だから、誘ったのサイコーだろ? 何回言わせんだよ」
「誘ってない……!」

きっと肩越しに睨み付けられる。
いつまで経ってもサイコーはそれが逆に俺を煽っているということに気が付かない。
向けられる視線にサイコーが弱いであろう笑顔で返すと、案の定サイコーは目を見開いて顔をそむけた。

そのまま身体を起こそうとしたサイコーをつかまえ、テーブルに手をつかせると俺は体重をかけて身動きがとれないようにした。

「シ、シュージン……! 嫌だってば、」
「自分だけイッといて、嫌はないだろ?」
「う…………、」

サイコーが潤んだ目をぎゅっと閉じる。
腰をつかんで引き寄せ、慣らしてもいない蕾に俺は肉棒を挿入した。

無我夢中であまり記憶がなかったけれど、サイコーの泣き声が途中から喘ぎに変わったのはちゃんと覚えていた。


*


「ばか、変態!」
「なんだよ、息抜きになったろ?」
「なるかっ! 何回も中に出しやがって………!」
「…………あは、」
「あは、じゃねえだろ! 次こんなことしたら、もう口聞かねえからな!」
「えー、」

つい歯止めがきかなくなってサイコーに無理をさせてしまった。
当然だがサイコーは怒り、でも身体がだるいのか椅子に沈み込むように座ったまま、俺を上目遣いに睨み上げた。

「息抜きの度にあんなことされてたら俺の身体がもたない、」
「だから優しくしたじゃん?」
「どこがだよっ、……なに、」

俺は座り込むサイコーの前に立ってサイコーを見下ろした。
口では強がっているくせに怯えた目で俺を見上げて、本当に可愛い奴だな、お前。

「サイコー、ほんと体力ねえよなあ。立てる?」
「た、立てるに決まってんだろ。バカにすんな、…………わ、」
「おっと。ほら、体力ない」
「………っ、」

意地を張って立ち上がったサイコーは、すぐによろけて俺にしがみついた。
支えるように腰に手を回すがそれもサイコーは振り払おうとする。
だが、疲れが溜まっているのか、抵抗は弱々しい。

「サイコー、寝ようか」
「………風呂、」
「風呂で寝んなよ」
「寝ない………、んん、」

少しかさついたサイコーの唇を舐める。
もう一度サイコーを椅子に座らせてのし掛かるようにしてキスをすると、サイコーは俺の背中を叩いて眉を寄せた。

それを無視して舌を入れ、逃げるサイコーの舌を絡めとって擦り合わせると、背中を叩く手はそのまま俺の服を緩くつかむだけになった。

眼前で睫毛が小刻みに揺れて、うっすらと涙が滲んでいる。
こういうことをするとサイコーはいつも泣く。気持ちいいから、だといいんだけど。

サイコーが喉を鳴らして俺のも混ざった唾液を飲み込んだ。
別に口の中に溜まるのが不快で飲み込んだだけだろうけど、何だかそれが無性に嬉しかった。

ちゅっと音をたてて口を離し、ようやっとサイコーを解放する。
はあはあと荒い息をしながら、サイコーは口から垂れた唾液を手の甲で拭った。

「キスだけで感じた? もっかいする?」
「しない………ッ!」

逃げるようにふらふらと風呂に逃げ込んだサイコーを、俺はゆっくりとした足取りで追いかけた。

 

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