41章〜
□傀儡論
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シア「…実はね、私もこれについておかしいと思うことがあるの」
アグア「えっ、初耳」
シア「最近のことで誰にも話してないからね」
シャウラ「聞かせてくれるか?」
シア「ええ」
シア「あなたも含めてだけどね。最近これを聞きに来るポケモンがやけに多いの」
シア「あなたたちで恐らく3組目かな。これまでで初めての頻度だよ」
シア「まあ、今シャウラが話したことで少々合点はいったけど…」
アグア「目撃されるようになったから?」
シア「そう。だから聞きに来るポケモンが増えたのかなーって」
シャウラ「聞きに来たポケモンはどんなポケモンだった?」
シア「ん? えっとね…」
シア「一組…というか、一匹は正体を隠したポケモン」
シア「大きさはあなたぐらいだったかな? 布で姿を覆ってたから顔とかは見えなかった」
シア「もう一組は、記憶にない」
アグア「覚えてないの?」
シア「ううん。…こんなこと言っても信じないかもしれないけど」
シア「多分、記憶を消されたの」
シャウラ「…えっ?」
シア「だから、話したというか、話したかもしれない。…なんだけど」
シア「ある時、意識が飛んでね」
シア「気が付いたら、ちょうどこういう姿勢で、開いた本を指差してたの」
イミル「…??」
シア「予想だけど、私は誰かにこれを尋ねられて、今みたいに説明をしてたんだと思う」
シア「で、これを指差してたから説明を終えたタイミングぐらいかな。その時に、ある時点までの記憶が消されたんだと思う」
アグア「ちょっと! どうしてそんな大きなこと黙ってたの!」
シア「「ありがとう」って紙が置いてあったから…ほら、これ」
シア「事情があるだけで悪いポケモンじゃないのかなって…」
アグア「…流石に早計すぎない?」
アグア「記憶を消してくるポケモンなんて絶対やばいよ」
シア「んんー、確かに」
シア「でもまあ、とりあえず何も起こってないし」
アグア「この件に関わってそうだから、何か起きてるでしょ」
シア「おっと」
シャウラ「布をかぶったポケモンと記憶を消すポケモンか…」
ディン「強力な秘匿性を感じるね」
シャウラ「アルザスを絡んで何かは起こってるよな…」
シャウラ(最近仲間になった…みたいなことを言ってたし…)
シャウラ「…この本のアルザスが現代にいる可能性もあるみたいだし…」
シャウラ「それをどうにかして…あんな無表情な何かにした…とか…?」
ディン「…状況を洗い出そう。何を言うにも推測だけどね」
ディン「1.アルザスはこのポケモンかもしれないし、アルザスと呼ばれるだけの別のポケモンかもしれない」
ディン「2.見た目は恐らく合致。性格は大きく異なる」
ディン「…ぐらいだよね?」
シア「3.アルザスを模して作られた何かかもしれない」
ディン「えっ」
シャウラ「えっ」
シア「ごめんね、今思い出して」
シア「布のポケモンが変なこと言ってたんだ」
アグア「後から可能性を足したらややこしくなるでしょ!」
シア「あはは、ごめんごめん」
シア「えっとね、正確には覚えてないんだけど」
シア「「できなくはない」「あそこをああして…」みたいなことをブツブツ言いながら考え込んでる感じだった」
ディン「何かを組み立てるような物言いだね」
シア「でしょ? だから、何か目的があってアルザスを真似して…」
シャウラ「んんん…」
シャウラ「んー…」
イミル「わからーーん!!!」
シャウラ「うわっ、なんだ急に」
イミル「さっきからいろんなことが倒錯してるよ!」
イミル「煮詰まってない?! まだ続けるのこれ!」
ディン「…シャウラが決めることだね?」
シャウラ「えっ、あぁ…言い出したのは俺か」
シャウラ「…他に聞ける情報はない?」
シア「んー、多分ない」
シア「如何せん、私も不覚なところがあるから今は言い切れないな」
シャウラ「ん。だったら聞き出したいことは終わりかな」
ディン「じゃあ帰ろうか。結構時間も経っちゃったし」
シャウラ「ああ。それじゃあ、シアさん、アグアさん、ありがとう」
シア「いえいえ」
アグア「よければまたいらしてください!」
シア「他に何か判明したら伝えるよ」
シャウラ「助かる」
ディン「それじゃあね」
「ばいばーい」
…………