41章〜

□旅路
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燎龍淵に向け出発して何時間か幾日


周りの景色は二度三度変化した


今は、比較的落ち着いたとある草原にいる


シャウラ「………」


…出発前に振り返ると言っていたこと…


…そろそろ整理をかけるとしよう


あの時の会話は確か…


………………


シャウラ「…霧払い?」


シキ「ああ、そっか…今までこのことは話してなかったね」


ジル「ユウとの関係も教えたし、時期だと思うよ」


シキ「…うん」


シャウラ「何のことだ?」


シキ「…以前に話した、留めの枷の話は覚えてる?」


シャウラ「ああ、悪霧の問題が一度は落ち着いたっていう…」


シキ「悪霧を見られるキーポケモンが事件を解決したって言ったでしょ?」


シャウラ「うん。で、そのポケモンを守ったから二匹は英雄の盾として…」


シキ「それは嘘」


シャウラ「えっ?」


シキ「悪夢を見られるポケモンは、私たちのことで」


シキ「英雄って言うのは、キーポケモンと私たちを含めて呼ばれてる」


シキ「ただ護衛しただけみたいな話し方をしたけど」


シキ「事件を解決したのは、私たち自身なの」


シャウラ「…!」


シキ「だから、私たちは一部で"霧払いの英雄"って呼ばれてる」


シキ「悪霧に関する情報は、ほとんど私たちに送られるわ」


ジル「だから、今回もこんな依頼が来たんだろうね」


シャウラ「そうだったのか…」


シキ「…確かに私たちは、他のポケモンと比べて狂暴化したポケモンとはかなり多く対峙しているから」


シキ「その筋には精通しているつもりだし、対処能力もそれなりにあることは自負してる」


シキ「でも、あの時にも言った通り、留めの枷をかけられるポケモンは今はいないから、直接解決はできないのよ」


シキ「立ち入り禁止の場所とかあったでしょ?…あれも、私たちが止む無くとった行動の一つ」


シキ「防ぐことも解くこともできないから、せめて蔓延を遅らせれたらって…ああしたの」


シャウラ「…だから、メアグローブに行った時はあんな反応をしたのか」


シャウラ「いろいろ合点が合ったぞ」


シキ「…ええ。現にあの森は、悪霧が蔓延してたから」


シャウラ「…あれ?とすると…悪霧を除去できないのに依頼を受けていることになるんだよな?」


シキ「ええ、そうよ」


シャウラ「…どうして?」


シキ「…それでも意味があるから」


シャウラ「?」


シキ「怪現象の原因を悪霧だと断定できる。」


シキ「…起因の明示は重要よ」


シャウラ「ああ、なるほど…」


……。


シャウラ「…あと一つ」


シキ「なに?」


シャウラ「…どうして嘘を?」


シキ「…。」


シキ「…一つは抵抗よ」


シャウラ「…?」


ジル「別に、シャウラにだけ黙っていたわけじゃないんだけどね」


ジル「前の話でも言ったでしょ?悪霧が見られるポケモンは疎まれたって」


シャウラ「ああ、覚えてる」


ジル「それが尾を引いてるんだ」


ジル「今更訂正できないって言うべきかな」


ジル「一般に広まってる僕達の情報は"英雄の盾"の方ななんだ」


シャウラ「…それって」


ジル「そう、嘘の方。でも、これは僕達が撒いたわけじゃないんだ」


ジル「どういう理由か、そっちが勝手に広まっちゃって」


シキ「一度疎んだ事実が邪魔をしたんでしょうね。英雄にそんなことするはずがないって」


シキ「だから私たちは、世間一般には悪霧を見られないと思われてる」


シキ「…今更それを訂正できないって言うのと」


シキ「仮に明かして、また疎まれるのが怖くて…」


ジル「だから、誰にって限定するわけでもなく、一貫して隠すことにしてきたんだ」


ジル「…中には、情報を探って真相を知っていたポケモンもいたけど。…ね?ディン」


ディン「?!」


ディン「えっと!えっあ、あぁー…」


イミル「知ってたの?!」


ディン「…まあ…」


ディン「…知りたがりでね」


イミル「なんだ、やっぱり物知りなんじゃん」


ディン「いや、そういうことじゃあ…」


ジル「でも、これは要因の一部」


ジル「理由の大部分は他にあるんだ」
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