41章〜

□暗避
1ページ/3ページ



「右だ!!」


「っ!!」


「…左っ!!」


「っ!!!」


仲間の誰かの声を頼りに

回避に専念する


自分の目でも追ってはいるが


声には敵わず捕捉もできない


その声は正確で

かなり早い段階から

回避の準備をできる


しかし

その速度で回避をしても

相手の攻撃は

ギリギリの箇所を空回る


自分の行動能力を

うまく分析できていない


「しかしっ…どうするんだ!」


「このまま避け続けても、反撃はできないぞ!!」


とても反撃ができる力量差ではない


「大丈夫。これでいい」


「?!」


途端に声の距離が近づいた

感覚が正しければ真後ろだ


「僕の声に従い続けて」


「返事をせずに」


「っ…!」


「現状、使える力は記憶だけ」


「…僕たちがこの状況で負けないためには、培ったこれに頼るしかない」


指示の間に挟まる説明は

淡々と続く


「君以外の二匹は、既に動いている」


「培った力で最も得手とするのは」


「"狙う力"と"最良の結果"だって」


直後、相手の攻撃とは違う何かが

自分の頬を横切るのに気がついた


間隔は、おそらく自分の回避に合わせたもの

自分の行動後に一定のリズムがある


横切る位置も凡そ同じ

何かに調節するように少しずつずれている

…ように感じる


照準がどこを向いているかはわからないが

この"狙う力"が正確であると

信じる気持ちに、妙な自信があった


…でも、

"最良の結果"って…?


「…起こりうる結果の中で」


…!


「何が最も効果的か」


「それが分析できる…」


「つまり、最良の結果の予測ができる」


…そこまでわかるのなら

それに従って動けば…!


「…問題は」


「その結果を引き起こすきっかけがわからないこと」


「何がトリガーになれば、この結果を引き起こすのかはわからない」


「…だって」


「…さて、ここで敢えて君に聞くよ」


「リック、君の力で一番強い力は何?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ