41章〜

□増設
2ページ/3ページ



「………………」


「………………」


「………っ!!」


「………!!!」


「……….〜っ」


…無言のやり取りが暫く続く

先ほどの場所から、暫く進んだような気がする

話し合いを進めたあの空間とは異なり

この辺りには数匹ポケモンがいるらしい

何度かすれ違う


気配を感じるたびに

身を固めて息を殺す

足音が遠ざかるまで必死に堪え

聞こえなくなったら、最後尾が合図を送る


アメジスト(〜〜〜!!!)


アメジスト(心臓に悪いっ…!!)


サファイア(どうして…身体がこんなにっ…)


もし見つかっても

こちらから仕掛けて

逃げる隙を作ろうという算段があった


しかし

数回すれ違っただけで

その気持ちはなくなった


本能だろうか

対峙をせずに

立ち向かえないことを

理解してしまった


その自覚は全員に共通し

すれ違う時の空気の揺れにさえ

すっかり怯えてしまう


ヒスイ(リック!緊張しすぎだ!もう少し身を緩めてくれ!)


リック(…自分で制御できないんだよ…!)


リック(お前だって同じだろ…!)


ヒスイ(…!)


しかし、この怯えには違和感を覚える

この状況が恐怖であることは確かだ

一定の緊張は恐怖による

しかしそれ以上に

緊張してる自分に緊張してしまう


身体の内外の疎通が

あべこべになっている感じだ


ディン(とにかく、この感じは気持ち悪いぞ…!)


ディン(身体の緊張を制御しきれない…!)


意思を無視して震える身体は

非常に消耗が激しく

ただそれだけで

体力を削ることになる


ディン(この調子だと…この身体の体力が…)


「……っ……はぁっ…」


(!!!)


誰かの息が乱れた!


シキ(隠密に亀裂が生じた…!)


シキ(休んだ方が…!)


シキ(でも…どうやって伝えれば…!)


リック(…もしかしてあいつ…!)


リック(まずい…そうだとしたら、息切れは治らないぞ…!)


リック(…通路を早く抜けないと!)


シキ(…前に伝言を回してっ?!)


結びつけたバンダナに引っ張られる


ジル(速度が急に上がった!)


ジル(焦るのはまずい!)


ヒスイ(リック!やめろ!)


ヒスイ(ペースを速めるな!)


リック(あれここで休んだ程度じゃ治らない息切れなんだ!だから…!)


ヒスイ(…?!!)


ヒスイ(いる!!前にいるぞ!!!)


ヒスイ(リック!!!)


リック(っ!!)


サファイア(合図ってっわっ?!)


進行に不和が生じ

行動を乱してしまった

静止が間に合わず音をたててしまう


(!!!!!!)


多少無理な体勢でも

その場で身体を固める


「ー………ー………ー………」


焦った衝動が

さらなる消耗に繋がり

数名の呼吸を荒くした


その呼吸を

口を身体のどこかに押さえつけ

必死に隠す


「ー…………ー…………………」


!!

すぐ横を通る足音が…

遅くなってる…!!


「………ー…………………」


「……………」


…止まった……!!!

もしかして…気づかれて…っ?!


「……ーっ!……」


腕を振って何かを探ってる…!

気づかれたぞ…!!


「……っ………はっ………」


!!!


誰かの緊張が限界だ!

これ以上呼吸は隠しきれない!!


(このままだと…!)


「……っ!」


「走れ!!!」


「わっあっ」


「いやぁっ!!」


?!?!


指示が…

悲鳴にかき消された…?!


「…いない…!!」


「ミドリ!!!」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ