41章〜

□加危向
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「ーーーーーーぃッ!!!」


!!!!!!!!!


直後、乾いた衝撃音が鳴り響いた

鼓膜を刺すような、鋭い騒音だ


「…っ?」


相手の攻撃が遮られた


爆音の残骸が宙を舞っている


「何してんの!早く!!」


飛び散っているのは

トレジャーバッグ…?


何者かがいなして

空白の時間を作った…


それ以上の把握は、好機の阻害になると判断した



「ぅぁああああ"あ"あ"!!!」


仰け反った相手の

ダメージが露わになった


傷がもっとも重なったそれに


「くらぇぇええええ!!!!」


スカーフを振り抜いた


「ーーッ!!!」


鈍い音と重なって

粘つくような音が生地を伝う


「グオォォォォオ!!!」


「いッ…!!!」


あまりの大声に全身が凍てつく

意識を失いかけた


「ォォ…ガアァッ" …!」


体重を乗せていたことにより

痛みを庇いきれず

体勢を維持できなくなった相手は

その場にひざまづいた


「…っ! ミドリ!!」


傾く身体を支えるためか

相手は手を地面に重ねている

その近くに、ミドリが放り出されていた


「しっかりしろっ…! 意識は?!」


反応がなく ぐったりしている

息の音が 微かに聞こえるだけだ


「…気を失ってる」


「…引きずるぞ…っ!」


両脇に腕を回し

力の限り、後ろへ引っ張る


「とにかくっ…逃げないとっ…!」


「相手が…起き上がる…!」


足の痛みを理解したようだ

重心をもう一方に移して身体を起こしている

あの様子だと間も無く立ち上がる


「…うっ…く…っ!」


「はぁっ…くそっ…!」


しかし


「力が…足りない…っ!!」


丸めた身体を精一杯後ろへ引っ張ることで

漸く一歩後退できる


それに加え

ものの数歩と言うところで

既に腕が重い


「さっきの奴らは…!」


「助けを呼んで…」


……しまっても大丈夫だろうか


大きく声を出せば

相手に位置を知らせることになる


一連の動作で、少なからず位置関係は変わった

この状況なら

動きを最小限に抑えれば

やり過ごせるかもしれない


…とはいえ

あくまで可能性であり

バレる危険性が無いわけはなく

気絶しているミドリが

ふとした拍子に何かの反応を起こすかもしれないので

とても儚い

可能性だ


できることなら…


リック(今すぐここを…)


離れたい…!!!





(……を閉じて)


えっ…?


(目を閉じて!早く!)


これは…

さっきいなしたやつの声だ…!


(向こうまで運ぶから!早くしないと…!!)


回避を促す声とは違う声だ

さっきから一体誰が…


(っ!!)


「見上げちゃダメ!!!」


「…あっ」


「ヴヴヴォォオオオオ!!」


「〜〜〜!!! 気づかれちゃった…!」


姿を見ようとしたのがいけなかったらしい

上の声は、調子を荒げてしまった


「早く目を閉じて!!じゃないと運べない!!」


「オオオオ"オ"!!!」


「うわっ…! 来てる…!!!」


地面を殴る音が響いた

もう猶予がないっ!


「…!! 閉じたね!」


「いきなり飛ばすよ!体に力を入れて!!」


「行くよ…!」


「3…2…1…っ!!!」


「ア"ア"ア"ア"ア"!!」


「っ?!!」
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