短編小説

□ヤセイノ痛ミ
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森…。


ここは、俺(ヴァン)がよく来る森だ。


…この森は、
とても不遇だ。


位置の関係上、
強いトレーナーが
ここを通り道にするため
強弱問わずここにいるポケモンを
倒しにかかる。


皆が皆そうとは限らない。
中には襲わない人もいるが…


…大半は前者だ。


森の中にいればよくわかる。
血生くさい臭い…
血痕…


それはもう
見るも無惨な状況だ。


だから俺は
この森に通っている。


偽善者っぽいかもしれないが…
この森の近くに住む者として
この森のポケモン達を
守らなければいけないと
思っている。


…とはいえ…
この森にくる強いトレーナー達を
引き留めれる自信はない…


…だから俺は、
治癒という形で
この森を守っている。


…つもりだ。


幸い、俺の家の近くは
オレンの実やオボンの実などが
よくとれる場所であり、
ポケモン達への道具提供は
安易にできる。


ただ…
森のポケモン達は、
人のおいた物には
一切手を付けようとしない。


…それほどまでに
人間が嫌いなんだろう…


だから俺はいつも、
森の中まで入った後
唯一コンタクトのとれる
『シママ』に道具を託し、
皆の元に渡る場所へおくよう
頼んでいる。


言葉こそ通じないが、
幼い頃に出会った友だ。

気持ちは十分に
通じている。


だから俺は
そんなシママを信じ、
森の中を一度見渡した後
すぐ外にでるようにしていた。


今ではそれが
ほぼ日課だ。


毎日のように
繰り返している。


…さて、
今日も行ってくるか…。
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