居場所

□episode2
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それから
その浜辺に行くことはなかった

雪姫の中に浜辺の人のことは薄れていた


「うふふ、まいどありー」

雪姫は仕事を終え

ふと、海へ行こうと思い立ち
あの浜辺に向かった


「落ち着くなぁ・・・」



雪姫は水平線をただジッと見つめていた









どれほど見つめていただろう


ふと気づくと隣にはあの男の人が座っていた




「やあ、こんばんは」

にこやかに微笑んだ




ドキン・・・
雪姫の鼓動が高鳴った



「こ、こんばんは・・・」
それはそれはぎこちない挨拶だった。

彼はふふっと笑うと
「俺の名前は、王寺 誠人」 


オウジ・・・マサト・・・



「あ、私。白城・・雪姫」


「雪姫ちゃんか・・・可愛い名前だね」




可愛い・・・か・・・


「雪姫ちゃんはいつもここに来るの?」



「いつもじゃないよ。一人になりたい時とか、落ち着きたい時とかにくる」


「大人だねーw」


「王寺さんほどじゃないよ」

「今いくつなの?」


言いたくない・・・


「そういうのは聞くものじゃないんじゃない」

私がさらっと諭すと

彼はしまった・・

といわんばかりの顔をして

「ごめんね・・よくわれるんだwデリカシーないってw」



きっとすごく純粋な人なんだろうな

「で?王寺さんはいくつなの?」

少し間があいて

「王寺さんてやめない?wなんかおじさんみたいw」

無邪気
そんなイメージの人だなぁ


「わかった。で、いくつなのさ」


「あ!俺、23だよ」


年上だ・・・


「年上じゃん」

「俺より下なのか」


また、ふふっと笑った


なんてやさしい笑顔なんだろうか


今日はもう帰ることになり
また会う約束をした。

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