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□ごめんなさいも言えなくて
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「きり丸」
「え」
囁かれるように呼ばれて振り返る。
「こっちだこっち」
すると反対の方向から苦笑がもれた。改めてそちらに向き直る。
「あ、5年ろ組の竹谷八左エ門先輩、こんにちは」
「こんにちは」
「生物委員会生物委員長代理がオレに何の用っすか?」
「ああ実は…」
「あれ?孫兵、あれ竹谷先輩じゃないの?」
「え?」
数馬の視線を追うと確かにそこには先輩の姿がある。
「1年は組のきり丸と一緒だ」
「ああ」
先輩ときり丸との接点などあっただろうか。
「何をしてるんだろうね」
先輩はきり丸と連れだって慌ただしくかけていった。
「さぁ」
ジュンコと目を見合わせてみたけれど何もわからなくて、首を傾げた。
1年は組といえば問題ばかりを繰り返している教室だ。あの人のいい先輩が何か面倒事に巻き込まれなければいいけれど。