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□ごめんなさいも言えなくて
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「お、孫兵!」



長屋を歩いていると左門が両手を振っている。



「左門、い組の長屋で何を?」
「何?ボクはろ組の長屋を目指していたんだがなぁ」


方向音痴は相変わらずらしい。
苦笑いを浮かべながら首を傾げる。


「ところで何か用事?」
「お!そうだ、お前の委員会の委員長代理何かしたのか?」
「え?竹谷先輩?」
「食堂で皿洗いをしていたから」
「食堂で?」



食堂で皿洗い。
どうしてそんなことを?
まさかドケチなきり丸にアルバイトの手伝いをさせられているのでは。



「ところで孫兵」
「ん」
「ボクの部屋はどこだろう」



私は小さくため息を吐くと同室の彼を世話する同級生に同情した。



「こっちだ」
「そっちか!」
「逆だよ!」
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