あぁ、間違いだらけ。
□*Prologue*
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ある少女は一輪の花に言いました。
――――「お姉ちゃんみたいに、両親や幼馴染に認められたい」
少女は常に一人ぼっちでした。
何でも完璧にこなしてしまう少女に対して、姉はとても不器用。
その不器用さを可愛がるかのように、両親や幼馴染はいつも姉ばかりを相手にする。
少女は出来て当たり前。
姉は出来ずに当たり前。
それに幼馴染達は、13年という長い時間をかけた付き合いだと言うのに、姉と妹の区別さえつかない。
一卵性で区別ができないの仕方の無いことだと十二分に理解している。
だが、幼馴染達の口から一番最初に出てくる言葉は必ず「月子」の二文字。
「陽菜子」という名前は、ついでなのか出てこないのかのどちらかで、そのうちの一つはほとんど後者。
「月子?」と問われ「違うよ」って言って苦笑いすることがあれば、「陽菜は大丈夫だな」って言われて、幼馴染達はすぐに姉の方に駆けていく
私だって大丈夫じゃないのに
少女は思った。
「一緒の日に生まれたのに、比較されるのは何故?」
「どうして両親や幼馴染は私の事を見てくれないの?」
そんな思いが募っていくうちに少女は家に居られなくなり、家出をした。
そうすれば、両親や幼馴染が心配して探してくれる。
そう思った。
だが、少女の考えは簡単に打ち消された。
この事実を知った少女は呆れて笑っていた。
「バカみたい」
と呟いた少女は、暗くなった空に輝く星を見つめた。
綺麗、ただそれだけ。
星だけは私の味方だと思っている。
人差し指と親指を銃のように見立て、乙女座の1等星であるスピカに向けてバンッと撃つ真似をした。
だってスピカは、真っ白の輝きを放っていてそれでいて清純。
まるで、姉を表してる星みたいだから。
少女は膝に顔を埋めた
泣いた姿を誰にも見られたくなかったから
「陽菜、ここにいたのか」
聞きなれた声が聞こえ振り返ると、唯一の幼馴染が立っていた
「泣くな、お前を“陽菜子”として認めてくれる奴はきっと現れる」
幼馴染の言葉に、少女はいつも救われている。
だって、この言葉を聞いたとたん認めてくれる人が現れるから
そしてこれから、また新たな出会いが運命を変えることになる。