影、そんなに薄いですか。

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沖田Side


特別棟を探せと言われた僕は、言われた通り特別棟に来ていた
置いた場所はわかってる
自分で置いた所だしね
あのやたらに広い図書室



「面倒だけど、行くか」



いい加減にしないと土方さんの説教長くなっちゃうし
それだけは避けたい


僕は目的の場所に向かった


向かってすぐ、図書室から女の子が笑う声が聞こえ覗いて見ると、
白衣を着た女の子がカウンターの席に凭れながら本を読んでいた

いつも廊下ですれ違う、姿の無い白衣を着た女の子

僕はそれに気付き彼女を凝視する
一瞬、「こんな子いたっけ・・・・?」なんて思い出してみるが完全に覚えていない



「今の笑い声って君・・・・?」



僕はいつの間にか彼女に声を掛けていた

『そうだけど、』と素っ気なく返す女の子は、何の用だという無表情な目を僕に向ける
僕は用件を伝えると彼女は探していた目的の豊玉発句集を僕に見せる

どうやら彼女はこの豊玉発句集を読んだのか、微かに頬が赤くなっている
読んだの?と聞けば



『ヘボい俳句でしたが最高でした、久々に笑った気がします』



と言い、いつの間にか僕の目の前にいた
こんなに近くにいるのに気付かないって君、どんだけ影薄いの?

聞いてみれば自他共で認めているらしい
彼女は興味が無いように豊玉発句集を僕の手に握らせたあと、背を向けた

そこからは簡単に自己紹介をしあい、少しだけ話をした


そして別れ際に



『いつでも来たらいいさ、その時はたくさんコキ使ってやる』



悪戯っぽく笑うきよらちゃんを見て少しだけ僕は顔が赤くなるのがわかった
それはきよらちゃんに気付いてないんだろうね。
きよらちゃんは本の整理を始めた


後から知った事だけど、この無駄に広い図書室を一人で整理していることを
千鶴ちゃんから聞いてびっくりしたのはいうまでもない


SideEnd

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