影、そんなに薄いですか。

□P.12
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『んー・・・・・、あ、ヤベ』



朝起きてテレビをつければ7:49、登校時間は8時
・・・・寝坊である

後10分くらいしか無いというのにノロノロと行動する
朝が完全に弱い私



『朝御飯・・・・いいや。』



きよらは何も口にせず、鍵を掛けて家を出た




生憎ながら校門の前には風紀委員が立っていた
そうだ今日は遅刻者点検だったな

しかもあれは斎藤くんと雪村さん似の男の子



『でもまぁ、大丈夫だろ』



なんせ、影が薄いうえに遅刻者はまだたくさんいる
紛れても多分わからない








だが考え方が甘かった








「ねぇ、何紛れて行こうとしてんの、遅刻だよね」



あっさりと捕まってしまう
それも雪村さんに似た男の子に



「あんた誰?見ない生徒だけど名前教えなよ」
『人に名前を聞くときは、自分から名乗れって教われなかった?君
仮にも私は君より先輩なんだけど、敬語も知らないの』



何故かイラッとして一睨みすると彼は一瞬後ずさった
そして平静を装っているのか額には少量の汗



「南雲薫、千鶴は双子の妹」
『似てるわけだ、私は結城きよら、ねぇ見逃してよ』
「ダメです、遅刻者を取り締まるのが俺達の仕事なんだけど」
『見逃してよ』
「ダメ」



南雲くんは掴んでいた手を一向に離してくれない
困ったものだ



『・・・じゃあ君の妹さんが遅刻したとき、君は妹の点数付けたフリして付けなかったよね』
「なっ!?」
『知ってるよ、ファイルは図書委員会が管理してるし』



だからさ、と言って少しだけ笑って脅してみる



『今日だけでいいから見逃して、これからは切っちゃってもいいから』
「・・・・・はい」
『どうも』



南雲くんは顔を真っ青にし冷や汗をかきいて、まんまと見逃してくれた

ちょっと脅しすぎたかな、と思いながら横目で南雲くんを見る
まだ真っ青だ


私は校舎の中へ入っていった













××××××××××××××



「あ、」
『おや』



暢気に廊下を歩いていると前から南雲くんを見つける
南雲はまた汗をかきながら後ずさる



『そんなに後ずさりせずとも、もう脅しなんてしないよ』
「斎藤には・・・・」
『内緒にするよ、見逃してくれたしね』
「ありがとうございます」



意外と礼儀正しい南雲くんの頭を撫でた
撫でてみると素直なことで・・・・・、顔を赤くしていた



「!?//////」
『南雲くんは、さっきから何キョロキョロしてるの』
「え、いや、千鶴を探してて・・・・・・・・・・。」



流石、妹思いの南雲くん
雪村さん幸せ者だなぁ
雪村さんなら・・・・・・・・・・。



『雪村さんなら、平助と左之先生がどっか連れさったよ』
「え!?・・・因みにどこに」
『職員室じゃない?多分土方先生か永倉先生の手伝いかもよ』



南雲は顔を少し歪ませ、職員室に向かおうとした直前に南雲の腕を掴んだ



『私も行く』
「え、」
『用事と君に聞きたい事があるし、ついでにこっちの方が早い』



すぐ近くにあった階段から、私たちは職員室に向かった






校内にいる千鶴を探せ1
(ねぇ、君は何で私が分かるの?)
(・・・・え?)
(みんなに気付かれないのに君だけ気付く)
(や、優しい香りがしたから・・・・////)
(優しい香り?変わった探し方をするんだね君)
(////(また頭撫でられた・・・・))


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