影、そんなに薄いですか。

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平助Side


俺が今から話すきよらの小学生時代
あくまで俺が知ってる範囲でしか話せない


彼奴と俺が最初に会った場所は、図書館だった
図書館には漫画も置いてあって
自由に飲み物や食べ物を飲食していいという嬉しいオプション付きで、俺は図書館に入った



「あったあった・・・・ぐぬぬっ、後少しで届くのにっ」



読みたい漫画を見つけ、背伸びをし、手を伸ばそうとするが届ない
飛んで取ってみようとしても届かない



『危なっかしいね君、
はい、君が読みたい漫画ってこれでしょ』



いつの間にか消えていた漫画が目の前にあって
受け取った漫画を辿ると、同じ小学生とは思えない綺麗な細く長い指
白い肌、
弱々しい細い体、
俺より少し高い背
緩く編まれた三つ編み
面倒臭そうな顔



「何こいつ、上からだな」



それが俺が最初に会ったきよらの第一印象だった




























××××××××××××××


そしてまた彼奴と二回目に会った場所は
告白場所で鉄板の体育館裏の廊下で偶々通りかかった時だった



「俺と付き合って下さい!!」



その日、きよらは四つ上の先輩から告白されていて



『お断りさせて頂きます』
「なんでっ・・・。」
『恋愛に興味なんてものが全く無いですし、

貴方みたいな女たらしに縛られたくない、分かったらとっとと失せてください』



無表情で面倒臭そうな顔で告白をバッサリと拒否し
何事も無いような顔でどこかに向かって歩き出していた



『あれ、いつから居たの?』
「たた、た、偶々通りかかっただけで。」



『嘘を付くのが下手だね』
と苦笑しながら彼奴は歩みを進め、俺は自然に付いていく



「な、なぁ、お前名前は・・・・?」
『名前?私、君と一緒のクラスだから知ってると思ったんだけど・・・・・、』
「え・・・・?」
『まぁいいや、結城きよらだよ

藤堂平助くん』



そのあと俺はきよらの名前を知らず、ちょっとだけ後悔した



そして着いた場所は図書館の中で唯一立入禁止の管理・保存修復室だった
そして一言、



『私の居場所は図書館とここだけなんだよ』



と哀しい笑みをみせた後、椅子に掛けてあった白衣を着ながら言う



『相談事や本の探し物、修復はいつでも来ていいよ』



『最近は図書館以外どこにいても暇だしね』とどこから出したのか、チュッパチャップスをなめていた



『チュッパいる?今日の分はこれで最後』
「い、いいのか?」
『もちろん』
「ありがとう、きよら」
『どーも』



この出会いが俺ときよらを今でも結び付けている


























××××××××××××××


そして、一緒に過ごしていくたびに知った
彼奴が人を信じなくなった理由


クラスのいじめ
実の妹からへの嫌がらせ
両親との決裂


それが理由で家族との縁を絶ち、
今は優しくしてくれる祖父母と近藤さんのところで世話になっているらしい
今、薄桜学園にいるきよらはいつもの無表情には変わりはないが、
一くんや総司、千鶴に薫、左之さん、新八っつぁんみんなに会って、
昔より丸くなってよく笑っている気がする


俺はこんなきよらの笑顔を守りたいし、傍に居たい
彼奴が悲しむ顔なんてもう、見たくないから


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